「本当にあなたは背が伸びるのが早い。そのうち私のことも追い越しちゃうね」


そしたらだいぶ楽できちゃうなぁ。彼女は俺の頭を撫でて、悪戯っぽく言った。なんて心地よい手。俺は彼女のことが好きだった。いや、愛していた。どうして彼女は誰かのもので、どうして俺は彼女のものなのだろう。なら俺は、なにを手に入れれば良い?そうでなくても彼女が大切そうになぜるお腹には新しい命が芽生え、しばらくすれば俺は彼女のものですらなくなるのだ。


「幸次郎みたいな優しい子になるといいなぁ。…ねぇ?」


愛しげなその目は俺に向けられたものではない。どうして俺じゃないんだろう。お腹の子に注ぎ、交際相手にも向けたであろうその目をどうして俺に向けてくれないのだ。赤子はこうのとりが運んでくる?…馬鹿にするな。俺はとうに世の中の理を知った。男と女の神聖な儀式、そのやり方だって知っている。力だけなら、いつでも貴女を汚すことができた。ときに夢で貴女を見た。朝起きたとき、俺がどんな状態だったかわかりますか。考えもつかないでしょう。だって俺は、優しいお兄ちゃんになるのですから。





家族以上恋人未満





愛していますよ、母さん。
たとえそれが罪になろうと。





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