*注意-死ねた




「人として大切なのはナカミ、だよな。…お前はどう思う?」

「ごもっともです、源田くん」


私の答えに彼は満足したようで、うんと軽く頷いた。それから熱く熱く人の中身について語る彼が純粋で可愛くて、どこまでも愛らしくて。彼の心こそが美しいと言えるのだろうと、私は思った。


「お前のナカミはどうだろう」

「うーん、さあね。汚いかも」

「汚い?…有り得ないな。きっと綺麗だよ」

「…ありがとう。お世辞でも嬉しいよ」

「…お世辞…か」


彼は自分の手の平を、私の頬に当てた。そのままするりと輪郭をなぞり、こつんと額と額を合わせる。どくんどくんと血液が波打つのを感じた。唇と唇が近くて、お互いの吐息と吐息がぶつかる。声を出すのも恥ずかしい。彼の呼吸だけを感じていた。


「…あったかい」


ふいに彼が呟いた。こりこりと額が擦れるのが気になって、少しまぶたを開けるとしっかりと目が合う。


「…な、あったかいよな」

「そうだね、あったかい」

「だろう?こんなにもあったかくて、顔色も良いんだ」

「え、…?」

「やっぱり綺麗だな」


彼は息継ぎをせずに続けた。血液だってサラサラで。タバコだって吸わないし。お酒だってまだ飲めない。体育だってしているし。間食だってあまりしない。どこに汚れる要素がある?…ほら、お前は綺麗だよ。そこまで疑うのならば、試しに見てみようか?そういって私を見る彼に、ぎゅっと肩を抱きしめられた。





ちくり。





見てごらん。
こんなにも綺麗なナカミに、君は誇りを持つべきだ。
綺麗だよ、凄く綺麗だ。
愛してる。






そうして私と彼は赤い海に溺れた。




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