｢だからね、私と君は繋がれないんだ｣ ｢…なぜ｣ ｢なぜって…、それを聞くの？｣ だって、分からないから。彼はそう言って答えを待っていた。私がため息をつくと、怒っているのか？とか、なにか悪いことをしたか？とか、彼は疑問ばかりを口にした。その様子が怯えているようにも見えて。とても悲しい気持ちになった。 ｢前にも言ったけれど、私には大切な人がいるんだ。だから…｣ ｢あぁ、知ってる｣ はっきりと告げて、彼は真っすぐに私を見据えた。それ以上は何も言わない。私も何も言えない。そんな風に必然的に続いた無音を裂いたのは、思い詰めた表情の彼だった。 ｢…お前が鬼道を愛していることとか、そういうことはどうでもいいんだよ結局。大切なのは結果なんだ。現に俺はお前を愛してる、鬼道よりもずっと深く愛す自信もある。お前のことはずっと見てきたし、ずっと大切にしてきた。実際、お前は誰が好きなんだ？…本当は俺なんだろ？なぁ、どうなんだ？答えろよ。どうして鬼道なんだよ…｣ ｢…そんなの、分からない｣ ｢だったら尚更！どうして鬼道を選んだんだ！誰でも良いなら俺でも良いじゃないか！なんで…なんで選んでくれなかったんだ！だから俺…｣ あいつを殺すしかなくなってしまったよ。 誰でも良いわけじゃない。 私は君が、怖かった。 → |