真田くんと幸村くん


001.夢

※5歳です

「ゆきむらのゆめはなんだ?」
「ゆめ?」
「やはりてにすぷれーやーか?」
「ううん、さなだのおよめさん」
「おとこどうしではけっこんはできないのだぞ?」
「ううん、さなだのおよめさん」


002.流れ星

病室の窓を開けると冬の冷たい風が勢い良く吹き抜けていく。寒い。カーテンがはためく。冬のわりによく晴れて澄み切った空だった。見上げると満天の星空だった。流れ星も幾つか見える。俺は手を伸ばしてそれを掴もうとした。掴めなかった。ただ希望が欲しかった。流れ星に願い事を言おうとした。言えなかった。口に出して願いを乞うてしまったら自分の弱さを認めた事になると思ったから。俺は弱かった。強くなりたかった。ふと、真田の顔を思い出した。涙が出た。今すぐ真田に会いたかった。


003.募る気持ち

今日、初めて真田とキスをした。それは遡る事1時間前。場所は誰もいない部室だった。家に帰った今もまだ心臓がバクバクして煩いくらい。キスをした感触とか真田の顔とか鮮明に覚えている。キスをした直後は緊張で何がなんだかわからなくてあんまり実感がなかったけど、後々思い出すと確かに俺は真田とキスをしたんだ。唇を指でなぞってみる。冷静になった思考回路に1時間前の出来事がフラッシュバックする。ベットの枕を抱きしめて恥ずかしさに悶絶する。恥ずかしい、恥ずかしい…けど。

「もういっかい…したい」

ああ、早く真田に会いたい。


004.明日天気になぁれ。

明日の降水確率は80%だとテレビのニュースで言っていた。最近は晴れの日が続いていたから良かったのにどうして明日に限って雨なんだろう。もう嫌になっちゃうよ。

「明日は真田とデートなのに」

髪の毛がはねちゃうじゃないか!


005.こたつ

※大学生同棲

「冬はやっぱりこたつだよね」
「ああ」
「それでみかんもあれば最高だよね」
「うちにはどちらもないがな」
「こたつ欲しいなー」
「バイト代でも貯めるんだな」
「でもさ!結婚したら絶対こたつ買おうね!真田!」
「そうだな」


006.ニュース

※真幸♀

それはあまりに突然の事であった。残業明けの疲れた体を引きずり家の扉を開けると、奥から幸村がすごい勢いでやって来て一言こう言った。

「真田!赤ちゃんできた!」

驚きのあまり残業明けの疲れも一瞬で吹っ飛んだ。


007.飴

「真田、アメ食べる?」
「アメ?」
「うん、ブン太にもらった」
「甘い物はあまり…」
「じゃあ口移しであげる!」
「おい幸村!人の話を聞け…」

カラン。

「俺味のアメおいしい?」
「……ああ」


008.二人乗り

恋人らしく二人乗りがしたいという俺の希望で規則やルールにうるさい真田がしぶしぶ二人乗りをしてくれた。

「よし、しゅっぱーつ」
「しっかり掴まっておくんだぞ」
「うん」

勢い良く自転車をこぎ出す真田。………意外に運転が下手だった。

「ね、ねぇ真田、もう少しゆっくり走ってよ。お尻痛い」
「む、段差がある所は避けているが」
「違うよ、昨日の夜の事を思い出して!」

後ろからではよく見えないけど多分顔を真っ赤にしてる真田が、すまんと小声で言った。


009.いちごみるく

昼休み。自販機で買ったいちごみるくとお弁当を片手に屋上へ向かう。真田とここで一緒にお昼を食べるのが当たり前になっていた。屋上のドアを開けると、綺麗な青空と白い雲と真田。急いで駆け寄ってお弁当箱を開く。いつもはミルクティーを買ってくる俺が今日はいちごみるくを持っているのに気付いた真田に、いちごみるくを飲むように勧めてみた。真田がいちごみるくを飲む姿が想像できない。いちごみるくなんて真田弦一郎と真逆のイメージだ。だからこそ飲んでみてほしかったのに、甘い物は好まないとあっさり断られてしまった。見たかったなあ、いちごみるくを飲む真田。ちょっと惜しく思ったある日の昼休みの事だった。


010.制服

※真幸♀

幸村は綺麗だ。その上スカートの丈は短く、胸元も開けている事が多い。そのため他の男に狙われているのではないかと内心気が気でないのが正直な所だ。もう少し周りの目と俺の気持ちを察してほしい。繰り返すようだが、見ての通り幸村は可憐で美しい。白い肌にしなやかな指先、艶のある髪に、整った顔立ちだ。それに昨晩のような顔や声を他の男に見られでもしたら……む、たたたたるんどるぞ真田弦一郎…!学校でそのような破廉恥な考えを巡らせるなど…!言語道断ではないか。いやしかし俺は幸村が心配でだな…

「あ、真田。今エッチな事考えてたでしょ?」
「!!!???」
「図星か」
「そんな事はない!!!」
「じゃあその鼻血なんとかしろ」
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -