「はい仁王ちこくー」
「……はぁ、はぁ…マジ?」
「マジだよ、大マジ」
「1分だけなのに?」
「遅刻は遅刻だよ。さなだー!」
「やーめーてーナーリー」


全力疾走の努力も虚しく、結局俺は部室の入り口で待ち構えていた幸村に遅刻者の烙印を押される羽目になった。たった1分遅れただけなのに…。大目に見るとか言う優しい考えは持ち合わせていないらしいよ、うちの部長様は。

まぁ、それから程なくして幸村によって呼び出された真田の力強すぎる鉄拳制裁を受ける事になったのだが。マジ誰か助けて。この際赤也でも誰でもいい。あ、丸井!そうだ!そもそもこの状況を作り出す原因になった当本人は丸井じゃ!くそ丸井、串焼きにして食ってやるぜよ。


「何を食べるんだい?」
「ゆっ、幸村……!?」
「どうしたの仁王、」
「いや、何でも…」
「ブン太を食べるって?」
「なん…読心術でも使えるのか?」
「え、図星?マジ?」
「えー…」
「ねぇ、ブン太を食べるって肉的な意味で?それとも…性的な意味?」
「あー…じゃああえて後者で」
「ぶっ殺すよ?」
「うそうそ」
「うちの部にホモはいらないんだよ」
「じゃあお前さんと真田は…」
「何か言った?」
「いや…なにも」
「うんうん」


ダメじゃ。幸村怖い。もうそれはいろんな意味で怖い。だいたいうちの部にホモはいらんとか、それじゃあお前さんと真田の濃厚な関係はどう説明する気じゃ。って言い返したい所じゃが、自分の身の安全の方が大事じゃけえやめておく。


「ところでさぁ」
「なんじゃ?」
「仁王の髪型ってエビフライみたいだよね」
「どゅーーっ!?」
「…………なに、どゅーって」
「あ、いや何でもなか」
「ふーん…じゃあさ、何で仁王ってその髪型なの?」
「特に理由はない」
「つまんない奴」
「つまらん奴ですまんかったの」
「まぁ、いいや。じゃあ今日から仁王のあだ名はエビフライに決定ね」
「何でそうなったん!?」
「今の話の流れでは普通にこの結論に辿り着くはずたろ?」
「いやいやいやいや」


もういやだ付き合ってられん。マジでこいつの頭を誰かどうにかしてくれ。もう帰りたい。雅治、お家に帰りたい。そして誰か助けて…。


「だって仁王は髪型がまずエビフライだろ」
「いやだから…」
「それに普段からプリッとか言ってるし」「それは関係なくね?」
「エビってさ、ぷりぷりしてるイメージあるだろ?ぴったりじゃん」
「いやいやいやいや」
「だからさ仁王、今から体中にパン粉を付けて、油の中にドボンして来いよ」
「………ピヨッ」


ああ、俺はとうとうエビフライになるのか。丸井の占い通りじゃな、この展開。ってか、全身にパン粉とか何のプレイじゃ。そしてただのいい恥曝し。


「仁王、」
「なんじゃ」
「ピヨッって事は…」
「って事は…?」
「唐揚げになりたいの?」
「…え、鶏的な意味で?」
「そう、鶏的な意味で」
「…………」
「…………」
「俺は唐揚げもエビフライも好きだぜぃ!」
「いつから居た丸井」
「ってか、お前には聞いてないよ」


エビフライ
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