そろそろ寝るか、とベットに入って数十分。ようやく眠気がやって来たと思ったら、枕元に置いていた携帯が激しく振動し、着信がある事を知らせた。


(誰じゃこんな時間に……)


電気を落とした暗い部屋で煌々と光るディスプレイは些か目に悪い。目を細めながらも仁王は発信者を確認する為にディスプレイを覗いた。ディスプレイには丸井ブン太の文字。携帯を開いたついでにそのまま右上の時計で時間を確認する。日付は変わり、すでに三十分ばかりが経過していた。
時間も時間だし寝ていたと言う理由をつけて無視しようかとも思ったが、こんな時間に電話をかけてくるなんて余程の事でもあったのかと思い直し、とりあえず電話に出る事にした。


「……もしもーし」


眠気を抑えて通話ボタンを押し、電話の向こうの丸井に呼び掛ける。


『あ、仁王……?』
「どないしたんこんな時間に」
『実は夢を見て…』
「夢?なんじゃ怖い夢か?」
『うん』
「幽霊でも出てくる夢か?」
『いや、違う』
「じゃあ天変地異とか?」
『いや……』


その後しばらく沈黙が続いた。そんなに恐ろしい夢を見たのだろうか。もしかしてあれか、幸村が全世界を相手に戦争でもおっぱじめる夢か。もしくは赤也が本当に海の世界(アトランティカ)からやって来たワカメ王子だったとか。いやでも仮に赤也がワカメ王子だったとして、なんでわざわざテニスしに陸まで来たん。まじウケる。


『仁王が………』
「え、俺?」
『仁王がエビフライになって幸村くんに食べられる夢を見た』
「え、まじで」
『まじで』
「俺、エビフライ?」
『うん』
「幸村に食われるん?」
『俺の夢、結構当たるんだぜぃ』
「……洒落にならんぜよ」


まさかの続き。


エビフライ
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