プロミス イズ プライスレス 2
『猫…?』
ぶにゃあああ、と鳴くその猫は洗濯物干し場の近くに置かれた揺り椅子の上にいた。
耳も顔も足も尻尾も、どこもかしこも丸いその猫は、言っちゃアレだが可愛くない。
最初は3人で来た俺達に警戒したような唸り声を上げていたが、なまえが前に出るとすぐに大人しくなった。ちなみに先ほどのぶにゃあああはなまえに頭を撫でられて気持ち良さそうにしていたときの声だ。
この猫は、屋敷に住み着いている野良猫の一匹で、ボスが文字通り猫可愛がりしている猫らしい。
なまえがGと出て行く云々の話をしていたのは彼女(雌らしい)のことだという。
『近くの街に彼氏ができたんだ。お腹に子どもができちゃって、彼氏の飼い主が引き取ってくださるって話になっているの』
そういうことか、とまん丸の猫を見つめる。お腹がぽっこりと出ているのは太っているのが理由ではないらしい。
なまえが出て行くのではないとわかって安心したが、新たな不安が頭の中に浮かんだ。
『なまえも、いつか結婚とかして…ここを出て行くの?』
『えっ?』
なまえが驚いたような声を上げる。
当たり前のことだが、なまえは女の子で、いつか好きな人ができて結婚したりするなら…ここから出て行ってしまうのだろうか。
いや、それは当然だろう。結婚とはそういうものだ。なまえに決まった相手ができたなら、一緒になることも、ここを出て行くこともなまえの自由だ。
だけど…
『なまえがここをでてくのは、嫌なんだものね…』
寂しい気持ちが言葉と共に零れ落ちると、なまえがふわりと微笑んだ。
先ほどまで猫を撫でていた手が、頭の上にのせられる。
緩やかに動く手が気持ちよくて、猫と同じように目を伏せてしまう。
『私は出て行かないよ』
『えっ。で、でも…』
出て行かないという言葉に嬉しくなると同時に、まさか結婚しないなんて言い出すんじゃないかと心配になった。
そんな俺の表情を見たなまえは、少し考えるような素振りをしてから、にぱっと笑った。
『じゃあ出て行かなくて済むように、ボンゴレの人と結婚するよ』
『えええー…』
結婚のことなんて初めて考えたよーと笑うなまえに、呆れてしまう。
その考えにまで行き着いておきながら、なぜボスという選択肢が出ないのか。
本人には伝わっていないとはいえ、盛大に片想い宣言までしたボスが不憫になる。自分としては、ボスには頑張ってもらってなまえがずっとこの屋敷にいられるようにしてほしいのだ。
なまえはなまえで、ボスを全く恋愛対象として見ていないわけではないのだろうが、この感じではボスが今以上に頑張るしかないだろう。
でもボス、妙に慎重だからなぁ…。まだ時間かかるんだろうなぁ…。
『なまえ』
『ん?』
『3年経っても誰とも結婚してなかったら、俺様が嫁にもらってやるんだものね』
『えええー』
プロミス イズ プライスレス
プロポーズ イズ プライスレス
(きっとそれまでには、なるようになってるはずだものね)
5555番、春猫様リクエストで初のランポウメインの番外編です。 うちのランポウは我侭はおさえめです。 というかボスと守護者には頭が上がらないのではと思っております。 主人公とランポウは同じくらいの年という設定なので、お互い仲のいい友達という感覚なんですが、ジョット様がぐずぐずしすぎていたら3年後どうなるかはわかりません(笑) こんな感じでよろしかったでしょうか?リクエストありがとうございました!
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