それは何のために? 2
間違ってたらごめんね、となまえがこちらを向く。
その顔がとても心配そうで、ジョットはどきりとする。
なまえは言うべき言葉を探すように少し迷った表情を浮かべ、意を決したように口を開いた。
『新技の開発…本当は嫌がってない?』
どくん、と心臓が跳ねた。
思わずなまえを凝視すると、なまえは少しだけ眉を下げて心配そうに微笑んでいた。
視線を下げて自分の両手を見る。無意識に手を合わせて三角を作る。
新技の開発、となまえは言った。
以前ナックルと一緒に俺が修行しているのを見たとき、そう聞いたのだろう。
俺が作ろうとしているのは、確かに新技だ。
技は敵を倒すためのもの。
俺が作ろうとしているものも、そうなるはずだ。
死ぬ気の炎を封じる技。
いつか起こる…かもしれない未来。
死ぬ気の炎を扱える者同士の争い。
ボンゴレで、いつか起こる…かもしれない未来。
そんな不確定な未来のために、技を作ろうとする、俺。
『未来のためだと信じたいのに…それができそうにない俺は、ダメなんだろうな…』
『えと…よくわからないけど。明るい未来のための技じゃないって、こと?』
『そうだな。まぁ…マフィアの技なんて』
明るい未来もなにも…と言いかけて、口を噤む。
なまえは怒ったような表情で俺を見ていた。
失言だったな、と気づいたがもう遅い。
『マフィアに明るい未来はないの?』
『いや、そういうわけじゃ…』
『ジョットは今の生活が楽しくないの?』
『そんなわけないだろう』
マフィアなんてことを忘れてしまうくらい、満ち足りた気持ちになる。
楽しい。些細な毎日が楽しくて、幸せだとさえ思う。
お前が、現れてから…さらに。
『その技は、作らないといけないの?』
『そうだな。今止めると…きっと後悔する』
『だったら、楽しい毎日が続くため…とかじゃダメなの?』
マホガニーの瞳が、懇願するように揺れている。
瞳に映る自分を見て慌てた。
びっくりするほど辛そうな顔をしていた。
だからなまえはこんなに心配そうな顔をしているのか、と他人事のように思った。
なまえはしばらくじっと俺を見てから、ふっと相好を崩した。
彼女の言葉は、俺が一番欲しい言葉ではなかった。
だって、どんな言葉が欲しいのか、俺自身もわかっていないのだから。
けれど、なまえの笑顔を見ているといつも思う。
この笑顔を、ずっと見続けていられればいいのに。
俺はいつだって、なまえに引き寄せられている。
『なまえは…カレーみたいだな』
『えぇぇ?』
なまえが変な顔をした。褒めたのに。
引き寄せられるように、さらりとした髪を撫でる。
もやもやした感情が消えていく。
ボンゴレの未来。死ぬ気の炎を持つもの同士が、争うかもしれない未来。
そのための、技。
じゃなくて。
『カレーのためってことで…いいかもな』
『?』
それは君とカレーのために
(もの凄く、カレーが食べたくなった)
4444キリ番のゆう様リク、ジョット夢です。 ジョット様の外でお弁当を食べる話のはずがいつのまにかちょいっとシリアスへ蛇行。 オレンジ スカイ ハイから半年以内ということで(笑)
ゆう様リクエストありがとうございました!
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