恋物語日常編 | ナノ


オレンジ スカイ ハイ 2







 集中しているジョットを見つめていると、胸がきゅうっと収縮したような気がして、息を飲む。


「ジョットは、何をしてるんだろ…?」

「究極な新技の開発だ。集中力が大事らしくてな、コロコロ場所を変えてはああして立っているらしい」


 俺も数えるほどしか見たことないが、と笑うナックルをユキは見上げた。

 彼もきっとトレーニングの最中だったのだろう。

 他の守護者も、見えないところで己を鍛えているに違いない。


「私も…」





 彼の空を彩る存在になれるだろうか。





「足手まといにならないくらいの強さが…欲しいな」


 真っ直ぐ見つめられて言われた言葉に、ナックルは少し驚いたようだったが、晴れの守護者に相応しい、太陽のような笑顔をユキに向けた。


「何事もまず、究極に体力だからな。明日までにユキの体力作りのメニューを作ってやろう」

「ほんとっ!?ありがとうナックル!」


 晴れの守護者に負けないくらいの笑顔を輝かせたユキは、嬉しさのあまりナックルに抱き着いた。

 普段は大人びているくせに、時々子どものような笑顔を見せるユキの頭を、ナックルは慈しむように撫でる。

 すると、視界の端で光っていたオレンジ色が消えたような気がして視線を向けると、死ぬ気の炎を消した己のボスと目が合う。

 ほとんど睨み付けているに近い視線を受け、ナックルは可笑しそうに笑って、それに気づいていないユキの肩をつつき、ジョットの方を向かせる。

 ユキに手を振られると、たちまち唇を笑みの形に変える年下のボスを、ナックルはこみ上げる笑いを堪えながら眺めた。







 未来からやってきた美しい日本人女性。





 彼女が現れて、半月が経とうとしていた。



 ボンゴレ屋敷は明るくなり、Gは仕事に精を出し、雨月は帰国をさらに延期し、Dはいつも以上に笑みを濃くしている。

 ボンゴレの仕事に意欲的でないアラウディやランポウも屋敷に居ついている。





 マフィアは仲良しグループではない。





 だが、これはこれで悪くないと思ってしまうのは自分だからだろうか。

 そう思いながら、ナックルはジョットの方に向かって走り出すユキを、心なしか軽い足取りで追うのだった。










(ごめんなさいジョット。邪魔しちゃって)

(いや、そんなことは(ユキが邪魔なんてことは究極にあるはずがない!そうだなプリーモ!)

(ナックル、後で2人で話そう)








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