三つ華 試験編 | ナノ


23


二次試験は鬼道及び白打の試験だ。

二人一組に分かれた受験生達に告げられた試験の内容は、 相手を捕獲すること。

捕獲は縛道を使用することが絶対条件だ。破道や白打の使用はもちろん可となり、刀の使用と、過ぎた暴力行為が禁じられた。

技術開発局により至る所に映像送信装置が設置されているため、不正はすぐに知られると脅された後、それぞれのスタート地点へと散った。



そして、試験開始を告げるの音が、森の中に高らかに響いた。


「立石はどこだ!」

「わかんねぇ!」

「霊圧探れよ!」

「うるせぇな。てめぇから捕獲してやってもいいんだぜ!」

「やってみろてめー!」

「馬鹿野郎さっさと竜胆を探せ! 他の奴らに先越されるぞ」



「人気者だな」

「まぁねー。俺前評判いいから」


四方から聞こえる似たような会話を、竜胆は気にした様子もなく笑う。

二人は作戦を立てるため木の中に隠れていた。すでに破道による爆発音が響き始めているなか、竜胆は至ってのんびりと話を進めていた。


「鈴が頭良くてよかったわー。どっちがどっちの役やっても問題なさそうだけど……足速い?」


枝の上で器用に胡坐をかいた鈴は、少し考えてから頷いた。


「速い」

「ん、じゃあ俺は司令と補助な。五分くれ。そしたら把握できるから」





* * *





「逃がすな! あいつの傍には竜胆がいるはずだ!」

「立石を捕まえればこの試験、通ったも同然だろ!」


言われた通りに、鈴は五分走り続けた。

一番近くにあった霊圧に向かってトップスピードをもって近づいた鈴は、相手に攻撃し、攻撃を躱し、破道と縛道を放った。


「さすが俺、ほんと人気者」


それを霊圧を隠して近くで見ていた竜胆は、この五分の間見ていた鈴の姿を頭の中で反芻させた。

あの二人はこのまま鈴に任せてもいいけれど、鈴の存在に気付いた他の受験生が近づいてきている。


「速力、反応速度、鬼道の速さ……」


自分が見たものを数値化させ、計算を繰り返す。


「理解した。さて、行くか」


にんまりと笑顔を浮かべ、竜胆は不意打ちのため腕を前に突き出した。







(飛んできた赤火砲に驚いた。合図にしては随分と乱暴だ)






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