恋物語で七夕 『まさか七夕と流し素麺がやりたいっていう理由で、日本の山から竹を刈らせてくるとは思わなかったよ…。ジョットってたまに強引だよね』 『青々とした立派な笹でござるなぁ』 『リアリティの追求に日本の山からの竹は必要だろう。ほら、日本の昔話にもあるじゃないか。おじいさんは仕事で山狩り、おばあさんは川で洗濯だ』 『それ山狩りじゃなくて芝刈り。どうしてちょっと物騒な覚え方してるの?』 『まぁいいじゃないか。おーいG。流し素麺の準備はできたか?』 『おぉ。できたぜ、プリーモ』 『本当に絵を描いてみせただけで作っちゃったんだ! さすが警備班だね』 『私達部下までもお招きいただいたのですから当然です』 『ありがとうリナルドさん。たくさんお素麺流しますね』 『はっ。流し素麺の河口付近には私とテオとタノを配備します。もし素麺が皆様の箸からすり抜けたとしても、我々が必ず退路を断ちます』 『うんそういうつもりで誘ったんじゃないんだけど、楽しんでくれるならいいかな』 『ヌハ。誰です? 短冊に【世界征服】なんて書いたのは』 『俺だ! 究極にもうすぐボクシングの世界大会だからな!』 『その場合は【世界制覇】じゃないですか?』 『それはそれで違うと思うんだものね』 『ま、いいですけど。漢字を筆で書くのは難しいでしょうし』 『短冊は筆で日本語で書くべしとか、形から入りすぎだものね』 『みんなー。そろそろお素麺流すよー。薬味の他に錦糸卵、椎茸、胡瓜、一応さくらんぼも用意したから、好きに取ってね』 『ねぇ、ユキ』 『なんですか? アラウディさん』 『林檎は?』 『えっ? 林檎はお素麺には入れませんよ』 『さくらんぼはよくてなんで林檎はダメなんだい?』 『そんな睨まないでください。泣いちゃいます…さくらんぼが。デザートに剥きますから、ね?』 『ならいいけど』 『まったくあいつらは…。おいプリーモ、行かねぇのか? 素麺流すぞ』 『G、見てみろ』 『短冊か?』 『ああ。ユキの短冊だ』 来年も、ここでこうしてみんなで… * * * 珍しくリナルドがボケた(笑) |