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プリマヴェーラ対策室



『ユキ様。リナルドさんは本日よりしばらく警備班の任から外れます』

『え。どうして? ま、まさかリナルドさんが左せ…』

『左遷じゃないっすよー。だって春っすから』

『んん?』

『テオ、ユキ様が困っておられるだろう。5年ほど前から毎年本部に設置されている【プリマヴェーラ対策室】。3年前まではG様が責任者だったのですが、今はリナルドさんがなさっているのです』

『そうなんだ。仕事ができるって大変なんだね…』

『年に一度の重要な仕事っすからね。他の仕事は一切禁止、ボンゴレ内の適任者が集められて一斉にやってるっすから』

『うわ、大変そう。手伝えることがあればいいのに』

『ないっす』

『がーん』

『テオ、調子に乗りすぎだ。ユキ様、極秘の任務ですのでお手伝いは大丈夫なんです。この任務についての話は他ではしないようにお願いいたします』

『は、はい。わかりました』



* * *



 その頃のボンゴレ屋敷会議室


『今年もこの時期がやってきたか…』

『あぁ。リナルドを筆頭に書類整理とコミュニケーション能力の高い選抜メンバーがあたっている』

『特別報酬の用意をしなければな。門外顧問機関からも出してくれよ、アル』

『……』

『嫌そうな顔をするな。お前の分は2番目に多いんだぞ』

『わかったよ』

『今年はユキのおかげで去年より減ったという話を究極に聞いたぞ!』

『主にボスの分が、だものね』

『ヌッハハ、甘いですよ二人とも、実際は違います。まだプリーモがまだ片想いのうちに、と逆に数が増えたという話です』

『しかもユキへ、という手紙も来ているらしいでござるな』

『ふざけた話だ。本当ならそんなもの破りに行ってやりたいところだが…』

『嫌なんだろ』

『うん、嫌だ』

『やめた方がいい。あそこは精神的にも肉体的にも疲弊するからな』

『リナルドがボンゴレに来てくれてよかったな、G』

『あぁ…本当によかった』



* * *



 そのころの本部・プリマヴェーラ対策室


『ボンゴレ縁談対策室、通称【プリマヴェーラ対策室】の最初のブリーフィングを行う。まず書類を対応難度別に仕分けてくれ。同盟ファミリー、社会的地位、ボンゴレへのメリットの高い家を特に重要視するんだ』

『ダンジェリ様、令嬢本人からの手紙が同封されていた場合はいかがしましょう』

『開封の許可はいただいている。目を通して熱意の度合いを確認しろ。令嬢本人の熱意が低そうならばすぐ断りの手紙を作成してかまわない』

『かしこまりました!』

『いいか、ボスや守護者様はお忙しい。できるだけ直接対応をせずに済むようにするんだ。召集の時点で言われているとは思うが、今回は5日以内が目標だ。不眠不休でかかってくれ』

『はいっ!』

『ダンジェリ様!』

『なんだ?』

『書類に管轄地の一般市民の手紙が大量に交じっております!』

『ちっ、仕分け班め…徹底しろと言ったのに』

『ダンジェリ様?』

『いや、なんでもない。この時期ならばボスと守護者様への恋文を受け付けてもらえるという噂が流れている所為だ。正式なものではないからよけておいて、普通の手紙と一緒にお届けする』

『かしこまりました! あと、ユキ様への縁談はいかがいたしましょう』

『許可はいただいている。見つけたら即ゴミ箱へ捨ててしまえ』

『はっ!』

『よし、開始する。仕分けの間に断り電話班及び手紙班はしっかりとマニュアルを頭に叩き込んでおくんだ』

『はい!』





 プリマヴェーラ、すなわち春。

 ボスと守護者との春を夢見ての縁談は、こんな感じで対策されていたりする。





『まぁ、【縁談お断り対策室】じゃ聞こえが悪いっすからね』





* * *


なんか頭沸いてたときに書いたもの…。




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