冬の郵便係 『ユキ様、お誘いは嬉しいですが何度も屋敷にお邪魔はできません』 『ファビなら構わないってジョットもGも言ってるのにー』 『それでも、そんな図々しい真似はできません』 『じゃあ、いつもみたいに外にお茶の用意をするから』 『なに言ってるんですか! この寒い日に外にいてはいけません!』 『えー。…じゃあ、郵便馬車の中は?』 『ば、馬車の中ですか?』 『うんっ。雨月が湯たんぽを手に入れてくれたんだ。毛布持ってきて、中に入れたらあったかいよ』 『(うきうきしてる…)』 『紅茶と…お菓子もあったかいものにしようか。フォンダンショコラとか、クレープもいいよね』 『うっ……』 『ね。いいでしょ? ファビ』 『ユキ様。全開の笑顔はくせ者って言葉をご存知ですか?』 『知らなかったけどなんとなくわかった。で、するでしょ? お茶』 『うぅっ。はい、ユキ様がお望みなら』 『やった!』 断り切れるわけがない。 笑顔でお茶に誘われて、断れる男がいるなら見てみたい。 ……3時間後 『ユキが究極に屋敷のどこにもいないぞ!』 『この寒い日にどこ行ったんだものね!』 『はっ! やっべ寝ちゃった!うおわユキ様っ起きてくださいっ!』 あったかい毛布にくるまっていたら高確率で寝る。 |