ボトルグリーン フレグランス 1
ボトルグリーン フレグランス
アラウディが何故か林檎をしゃぐしゃぐしながら戻ってきて数分後、ボンゴレのボスと守護者の会議は終了した。
『それではプリーモ、その日本人の娘に話を聞く際はそのように』
『あぁ。だが、やりすぎるなよ』
『ヌフフッ、わかっていますよ』
どこか楽しそうなD・スペードの様子に、ジョットは気づかれない程度に息を吐く。
今集められる情報を洗った結果、ユキは敵マフィアのファミリーでも、街の住民でも、ここ数年の間にイタリアに入国したものでもなかった。
どこの誰なのか、まるでわからない。
外国への渡航は、珍しくなくなったとはいえ相当な時間と金がかかる。ましてや日本だ。
すでにユキの存在は拠点にしてあるこのホテル内のファミリーには広まってしまっているので、ジョットはボスとして早々にユキの処遇を決めなければならない。
会議が始まってからもう何度目かわからない溜め息をついて、ユキの部屋のドアを3回ノックする。
すぐに返事があり、ドアを開けると、バスローブ姿のユキが片足でぴょんぴょんとこちらに来ようとしていたので慌てて止めた。
「無理に歩こうとするな。座っていろ」
「あっ、はい!」
ベッドに座りなおしたユキに、雨月、ランポウ、D、ナックルを紹介する。
一人一人丁寧に挨拶をするユキは、土による汚れが拭われた顔に、ふわりとした笑顔を浮かべている。
笑うと、思っていたより幼く見える。
外で見た表情は強張っていたからという理由もあるだろうが、大人びた印象だった。
だが今は、とても可愛い笑顔を浮かべている。
Gが手当をするためにユキの前に跪くのを見て、ジョットは声をかける。
「お前のことが聞きたい。どこから来たのか、何故あそこにいたのか。俺たちに質問もあるだろうが、まず話してほしい」
ユキが静かに頷いたのを確認して、ジョットは椅子に座る。
ユキはしばらく悩むように眉間に皺を寄せていたが、少しずつ言葉を選ぶように話し始めた。
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