小悪魔
『んーっ。これも上出来っ!』
ユキの仮装である悪魔の衣装は、膝上15センチの、ペチコートが入った赤のチューブドレスだ。
胸元とスカートの裾に可愛らしい黒のフリルがあしらわれたドレスと、小さな角がぴょこんと見えるヘッドピース、そして片手に大きなフォークのような三叉槍を持ったユキは、談話室ではなく二階のバルコニーで冷蔵庫から出したばかりのパンプキンプリンを頬張っていた。
談話室で誰が言い出したのかカボチャ割り大会が始まってしまい、ビリはワイン一本を一気飲みだというからこっそり逃げてきたのだ。
普通のゲームならともかく、カボチャ割りで彼らに勝てる自信はない。
すっかり夜は更け、月明かりととことどころに飾ったジャック・オ・ランタンの火だけがぼんやりとバルコニーを照らしている。
談話室での盛り上がりが遠くに聞こえると、今いる場所が余計に静かに感じられる。
すると、かすかな音を立ててバルコニーのガラス扉が開かれたのがわかった。
『ユキ』
椅子に座ったまま振り返る前に、目の前に飲み物が入ったグラスが突き出された。 その飲み物は…?
赤黒い飲み物 ……6ページにジャンプ
乳白色の飲み物 ……8ページにジャンプ
茶色の飲み物 ……9ページにジャンプ
← →
|