storia d'amore version helloween | ナノ



お菊さん


 はぁ、これじゃあお菊さん以上にお皿が嫌いになりそう。





 濃紅の着物に、菊が描かれた黒に近い紫色の帯。まっすぐな黒髪のかつらを付けてお菊さんのように扮装したユキは、パーティが始まってから数時間の間でお菊さん以上に皿と接していた。

 昨日から丹精込めて作り上げたかぼちゃ料理やパンプキンスイーツ。それだけでは足りないだろうと肉や魚を香草と一緒に焼いたりシチューを煮込んだり。

 それらの料理を次々と平らげてしまうボスと守護者達に新しい料理を提供するべく、さきほどから食堂と談話室間を往復してばかりだ。


 まぁ、美味しいと言って食べてくれるのだから嬉しいけれど。


 仮装して飲み食いしてゲームに興じたりするだけのパーティだが、飾りつけと服装が違うだけでだいぶ印象が変わる。

 きっと今頃はハロウィンにちなんだ単語ゲームを繰り広げているであろうボスと守護者達のために、蝋燭ではなくマジパンで作った指をパンプキンプリンに突き刺したユキは、大皿に載せたそれを運ぶためにワゴンの方を向こうとした。





 その時…



 誰かに肩を叩かれた!
 ……14ページにジャンプ


 足が滑った!
 ……15ページにジャンプ


 勝手口のドアをノックする音が!
 ……17ページにジャンプ