storia d'amore version helloween | ナノ



プロローグ


『ハロウィンパーティをやろう』








 三日ぶりにボスと守護者全員が揃った夕食の後、ユキがコーヒーをテーブルにことりと置くと同時にジョットは宣言した。

 耳慣れない言葉に守護者は首を傾げ、ユキだけがくるりと首を回して壁に掛けられた暦を見た。


『ハロウィンとは、確かユキが言っていた10月31日に行うお祭りのようなもの…でしたか?』

『うん。そう』


 コーヒーをひとくち飲んで言うDにユキが頷くと、それに釣られたかのように全員がカップに手を伸ばした。


『幽霊やフリーク等の仮装をして、カボチャのランプで屋敷を飾って騒ぐんだ。面白そうだろう?』


 一度やってみたいと思っていたんだ、と笑顔を浮かべるジョットの楽しそうな様子からは、異議は認めないという雰囲気が溢れていた。

 こうなっては何を言っても無駄だということは承知している守護者達は、二つ返事で賛成した。

 なにより、やったこのとのないものはやってみたい。面白そうだ。


『Trick or Treat!お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!がハロウィンのキャッチフレーズだから、皆覚えてね!』


 屋敷でハロウィンができることがとても嬉しいらしいユキが、そう言って微笑むと、自分専用のデザートの林檎を口に運んでいたアラウディがふと視線を上げる。


『ユキ、その言葉は英語だよ』

『あ、そっか。えっと、イタリア語では……』





 日常会話には困らなくなったとはいえ、すぐには言葉が出てこないユキが額に手をあてると、イタリア語が堪能なボスと守護者計7名の声が揃った。








Dolcetto o Scherzetto!

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