たぬきつねこ |
「なぜ貴様がここにいるのだ」 「なんやつれんなぁ。僕は総隊長さんに会いに来てんで?」 「よい。市丸や、すぐ済むと言うたから通したのじゃ。用件を申せ」 「あぁ、ちょお待ってください。ちょうどよかったわ。ハイ、二番隊長さん」 「なんだ……ッ!」 「痛ぅっ。…ひったくらんでもええやん。落し物を届けたったんに」 「なぜ貴様が持っている?」 「うちの隊の女の子が拾ったんやけど返しに行く勇気ない言うから預かったんよ」 「そうか…」 「しかし難しい本読んではるね。二番隊長さん」 「うるさいぞ」 「そのくせかいらしい栞つこてるんやね」 「!」 「手づくりっぽいけど、誰にもろたん?」 「貴様には関係ない」 「まぁそうなんやけど、うちの女の子たちが『砕蜂隊長が最近その栞を見ながらふっと笑顔を浮かべてるらしいってファンクラブの間で言われててキャー!』…言うてるから気にな…ってちょっと刀出さんといて」 「殺す」 「止めい。市丸、さっさと用件を言わぬか」 「ああそうでした。今期の試験を噂の見習い君が受けるとか」 「!」 「それが、何かあるのかのう?」 「即戦力になるそうやないですか。十一番隊の書類関連の処理能力を上げたっちゅう噂もあるし。今からうちの隊に勧誘しとこかと」 「調子の良い男だな貴様は」 「まぁおひれがついとる噂なのはわかっとんねん。当の本人は十一番隊と技術開発局ぐらいでしか目撃情報がない、箱入り息子みたいな子なんやろ?」 「息子…」 「? どうしたん? 二番隊長さん」 「なんでもない」 「あやつは過大な霊力を持っておるのでな、行動範囲を制限しておるのじゃ」 「せやから、十一番隊に会いに行ったんやけど、会わしてもらえんかったんや」 「死神でもない見習いに、隊長が会う必要はなかろう」 「なんでなんです? 優秀な生徒を霊術院に見に行ったりするんはよくあることですやん」 「鈴は院生ではないからの」 「くだらんな。ただの見習いのことを隊長が嗅ぎまわるとは、三番隊も落ちたものだ」 「えー。二番隊長さんは気にならんの?」 「ならん」 「見習いが試験に合格すれば情報は全隊長に回る。それまで待つんじゃな」 「残念やなぁ。書類仕事の得意そうな子…早くツバつけたかってんけど」 たぬきつねこ (やっと帰ったか…) (総隊長、砕蜂隊長、茶会の準備が整いました。十崎も到着致しましたので茶室にお越しください) |
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