君の視線の意味に
(気付いてしまった)

最近目が合う。邦枝と。
気がついたら俺があいつを見てるのか。
あいつが俺を見てるのか。
こう言う事はわかんねぇ。

「おい、邦枝。これ助けてくんね?」
「東条先輩、どうしたらそうなるんですか。」
それでも邦枝は器用に東条のほつれた?やぶれた裾を治していく。
「おい、男鹿。何見てんだ。」
「あ、いいだろ。邦枝って器用だなぁって。」
邦枝を見ると上目使いに俺を見ていた。確かに俺を見ていた。
胸が爆発しそうだ。ドキドキってこういうやつなのか?

「男鹿、熱でもあるのか?黙って。」 「うっせぇ!!!」

そんな話をしていたらもう、邦枝は縫い終わって東条に渡していた。
「私はお裁縫屋さんじゃないんだけど。」
「細かい事気にするなって」 高笑いをしてバイトに戻った。

気づいちまった。この狂いそうな気持ち。
焦がれそうな気持ちに。

そうだ俺は邦枝に恋してる。
どうしたらいいか解らない。こういう時どうすればいいのか解らないまま
俺はまた、邦枝を見ていた。
「お、お男鹿、何か用?」 邦枝が俺に話しかけた。
すごい用事なんだけど用事じゃねぇし…

「これ、教えてくれ、授業が終わったら。」
「って…冬なのに朝顔の咲かせ方…?」
(しまった!!!!)

邦枝はにっこり笑って、『冬の花なら咲かせ方、知ってるから…」
俺をコケにしないでくれた。

時間になって待ち合わせ場所に行くと邦枝は白い花に
水をあげていた。

「ねぇ、期待してもいいかな?恥ずかしいけど。
でもね…私も見てたんだよ。知ってるかな。」

「邦枝…」 しばし目を合わせてしまい沈黙した。
「あっ…」 「すまん…聞いてた。でも安心した。」
真っ赤になって俯いて花を見てる邦枝。

「俺一人邦枝を見つめてたんじゃないって。」

「ね。男鹿、この花何だか知ってる?」 俺は首を横に振る。
「スノードロップ。花言葉は希望・慰め・楽しい事の予告」
「そ、そうなのか…」

「この花言葉を信じていつも見てたの。
そう叶ったって思っていい?」

「あぁっ。俺邦枝のこと…好きだから邦枝の…その。」
言葉より行動だっ!俺はそういうヤツだ。

邦枝を思い切り抱きしめて言ったのは「好きだ」の一言。
俺たちずっと見詰め合ってたんだな。

好きじゃ足りない。
邦枝の思うこと、嬉しい事、全てが欲しい。
髪に白い花を挿してゆっくり邦枝の唇に近づく。

もう邦枝しか見れない。邦枝が俺の目の届く所にいればいい。
そんな想いが溢れて、花のような邦枝の唇に口付けた…

「もっと見つめていたい」 気がついたら声に出していた。
邦枝を見つめていたいから見つめて欲しい。

俺だけを…  end


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