jojo | ナノ
猫背アイドル

※女体化GLDのみ

マジェント♀/現パロ/「え〜金平ごぼうとかきもーい」彼女はお箸の先で定食の小鉢のごぼうをつつく。箸の持ち方は相変わらず指が曲がっているみたいに汚い。「あたし食べられないからあげる」癖毛の奥でほくそ笑んで、土色をした小鉢を私に押しつける。昨日飲み会で砂肝とごぼうの照り煮食ってたじゃない。


マイク♀/ 頼むと丸めた古新聞を手渡してきた彼女はとても憔悴しきった様子であった。汗と涙で化粧は崩れ、髪は乱れ、シャツがずり落ちた肩から下着の肩紐が覗いている。痛々しいがそれを上回るほどのコケティッシュな魅力に目を奪われる。思わず生唾を飲んだ。この後私は芥虫退治を命じられることとなる。


マイク♀/ちんまりと座ったハイヒールはクリムゾンレッドに光っていた。ショーウィンドウ越しに、純粋に綺麗だと思う。しかし現実的ではない。10cmくらいはヒールがある。身長176の自分が履いたらと想像してあまりの滑稽さにげんなりする。「気になるなら履いてみれば?」隣の彼女がいきなり口を挟む。
「180越えの女に隣を歩かれたくないだろう」「そんなこと気にしないよ」「私が気にする」こういう時、彼女はデリカシーのない女だと思う。「ふぅん…でも意外だなぁ。マイクさんも可愛いとか気にするんだね、そういうところ私可愛いと思うよ」コイツの頭をヒールで殴りたいからやっぱり買おう。


アクセル♀/「おばさんになると化粧品もそれなりの物使わないと」女は毎夜、鏡の前で幾つも小瓶を並べて化粧水やらクリームを塗りたくる。しかし不思議なことに指だけはそっけない。色もツヤもない、短く切りそろえられた四角い爪。婀娜っぽい容姿に反してまるで地味な手指に私はいつも釘付けになる。
「鍵盤に爪が引っかかるから」匂いのきつい煙草をふかしながら爪を切るアクセルが愛おしく、息が詰まる。ジェルやマニキュアで飾るのは嫌だと言うから、爪の生え際にオイルを塗ってあげた。「そんなに私の手が好き?」そうしてラベンダーの香りがする指先で口腔を抉られるのさえ気持好い。


オエコモバ♀/ふっと吹きかけられた煙に噎せる。私の肺腑を犯す毒を吐く彼女は悪戯っ子のように笑う。「煙吹きかけるって今夜お前を抱くって意味らしいよ」いきなりそんなピンクな雑学を持ち出すものだから思春期の餓鬼かと思う。「女の子抱いても仕方ないでしょ」「え、別に全然良いけど」真顔で言わないで。


オエコモバ♀/現パロ/彼女は学生食堂にある一つしかない電子レンジを度々爆発させる。それゆえに「爆弾魔」の異名をつけられ、大学内では有名だった。「この講義あたしヤバいの。ノート見せて」いかついパンクファッションで身を固めた彼女はまるで旧友にでも頼むような口ぶりで私に話しかけてきた。
馴れ馴れしく尊大な態度に呆れと驚きでぽかんとしていると、彼女は意外とぱっちりした目を細めた。「いつも前の席陣取っててガリ勉そうだし字が綺麗そうな顔だなって目つけてたの。あたし字汚いの嫌いなんだよね」矢張り変な子だ。ごめんなさい、と言って席を立つ。しかし彼女の長い脚が邪魔をした。
私の両足のあいだに差し入れ、つっかえ棒のようにして机と椅子の狭い空間に閉じ込められる。紫のカラータイツの脚と見慣れた自分の脚が絡んでいるのは異様な光景だった。「御礼ならなんでもしてあげる」彼女の声は明るかったが、意味もなく人を食ったような態度が表に出ていてそれが艶っぽく見えた。


オエコモバ♀/官邸の廊下を煙草を吹かしながら歩いていたら、ナマエを見た。浜辺に打ち上げられたイルカみたいに、うつ伏せに倒れていた。ああ、またやられたんだなあ。歩み寄れば伏せた頭の下からカーペットにじわじわ血が染みている。白だから目立つ。血とか、落ちないんだろうなあ。
キャスターの甘い煙を吐きながらナマエを仰向けにして様子を見る。あ、息してる。化粧っ気のない青ざめた顔に額から流れている血が目立つ。時々うっ…と呻く声でわぁ意識あるんだ、とナマエの生命力に感心してしまう。同僚が口を揃えて言うには、これがたまらなく「カワイイ」らしい。


ブラックモア♀/「フィラデルフィア万博だってさ。行きたいよね」新聞の特集記事を指差せば、刺繍の手を止めて妻に曖昧な顔をされる。「うちにそんなお金無いじゃないですか」「仕事を頑張って、食費とかを節約すれば行けるよ」「三食ジャガイモで貴女が耐えられるなら可能ですが」彼女の返答に黙るしかなかった。


ディスコ♀/「子供じゃないんだから」と断っているのに彼女は私を寝間着に着せ替え、歯を磨き、ベッドで寝かせるまで世話を焼く。しかし正直断っているのは恥ずかしいからで、とても嬉しいというのが本音だ。彼女の介抱が無ければきっと私は一睡もできないだろうというくらいに依存していた。
ピンクの羽毛布団を私の首元まで掛けられると、堪らなく擽ったいのと同時に幸福感に満たされる。まるで母に抱きしめられているような温かな感覚に脳髄が蕩けそうだ。「永遠に目覚めなくていいよ」耳に低く囁いてから頬に接吻をする彼女に「おやすみ」の微笑みが零れた。



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