番外編 | ナノ

▼困らせ属性のきみ

あなたは『寒い季節に自分は薄着でも平気な顔してるのに相手が薄着だとやたら心配して着膨れさせようとする』リゾットのことを妄想してみてください。
http://shindanmaker.com/450823

ヴェネツィアの冬は極寒。寒いというより痛かった。空気は空中で凍りつき、空は昼間でも薄暗くて濁ったグレーのまま。
比べてナポリの冬は腑抜けたみたいに寒くない。だから私はよく冬でも薄着をする。孤児院にいた頃、コートも着せられずにシスターに寒空の中に放りだされ、使いっぱしりをさせられていたから寒さにはすっかり慣れっこだった。

「風邪をひいてもいいのか。そんな薄着で」
リゾットと冬出掛けるのはこの上なく鬱陶しい。まるで私のパードレかマードレみたいな物言いで男物の野暮ったいジャケットを何枚も羽織らせてくる。いつもは私がちょっと口答えしただけでお得意の鉄くずを食わせるくらい冷酷な奴なのに、冬の時期になると私を着膨れさせて気持ち悪い親切心を向けてくる。
「ヴェネツィアを思い出させたくない。今のお前はナポリの人間なんだからな」
は?何それ笑える。
私はぶかぶかの煙草臭いジャケットの底でせせら笑った。
「あんたこそぺらぺらのジャケットで隣を歩かないでくれる?私までみすぼらしく見えるんだけど」
鼻をすすっていたのを誤魔化してるつもりの馬鹿なリゾットに私は毛玉だらけのマフラーを投げつけた。

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