【事件の概要】
郊外の路地裏で官邸の衛兵の一人が遺体で発見された。死因は射殺。遺体は口内に何発も銃弾を打ち込まれ、激しく損壊していた。遺体のそばには凶器と思われる空のピストルが置いてあった。
遺体が発見された近くの仕立て屋の前で被害者と店に来た女が二人、口論をしていたと仕立て屋の主人は証言している。
女二人の名前は店の帳簿によると「マジェント・マジェント」と「ナマエ」という。


【第一発見者、仕立て屋の主人の証言】
ええ、そうです。忘れもしません、あれは確か日曜日の夕方くらいのことでした。
二人の女がオーダーメイドの注文していたシルクハットを取りに来たんですよ。女なのにシルクハットなんておかしいなぁってその時から怪しいとは思ってました。
帽子を渡したらたいそう二人してはしゃいでましたよ。仲は良さそうでしたね、まるで女学生みたいにキャーキャーくすくす言ってたりお互いを小突きあったりして。
帽子を頼んだ方のマジェントって女はくせっ毛の黒髪で小柄で、妙に色気があってバーとかにいるような雰囲気でしたよ。ありゃあ遊び人だね、男はすぐああいう女に引っかかっちまう。
反対にもう一人のナマエって呼ばれてたほうの女は服装も質素で地味な女でした。顔立ちは悪くは無かったけどちょっと神経質そうでしたね。俺はあんな風な女はちょっと苦手だな。

で、男が現れたのは女達が店を出てすぐのことでした。いきなり通りの角から走り寄って行ってました。男のほうは身なりも良くていかにも好青年って感じでした。
店の中にいたんで話は聞こえなかったんですが、10分くらい店のショーウインドーの前で口論してました。見た感じじゃあ男が言い寄ってるふうでしたね。連れ立っていったのも男の方みたいでした。
三人が消えてしばらくして、銃声が聞こえてきました。五発か六発くらいだったかな?
慌てて店を出て、聞こえた方向の路地裏へ向かいました。…怖かったですけど気になったんでね。
路地裏をそっと覗いたら男が倒れてました。壁に凭れた格好で、口をぽっかり開けて目も見開いてて……恐ろしい形相でした。そばにはピストルが転がってるだけで、あとは何も。
女二人はいませんでした。
そして俺はすぐに警察に電話しました。その後は警察がくるまで店に引きこもってました。おぞましくて遺体の近くになんて居れなくてね。
私のお話は以上ですよ。
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