どうぞ揺らいじゃってください

*博士が女装癖
博士はゲイでもオカマでもないのに女装をする。化粧は私の倍の時間をかけてするし、服や靴、香水に至るまで女物を使う。さすがに仕事の日はパッと見では女装とは思えないパンツスタイルが多いのだが、オフの日はスカートやワンピースを平気で着る。
「博士は変態です」
「人を変態呼ばわりとは失礼な女だなお前は」
「普通の人は女の格好で女にキスなんてしません」
手の甲で唇を拭えば真っ赤な口紅が模様を作る。私のではなく、博士の。手入れされ、紫のネイルを施した手で壁際に私を追い詰めた博士は垢抜けていて綺麗な女の人の姿をしていた。ワインレッドのワンピースにロングカーディガンを羽織る彼はさながら舞台女優のよう。
「女装した男に責められてまんざらでもない顔をしているお前も変態じゃないのか」
カツンとヒールが音高く鳴って博士の脚が私の太股の内に入り組む。甘い香水が鼻腔をくすぐり、気分を高揚させる。自分よりずっと美しい女のフリをした男に犯されるという言いようのない背徳的行為を待ち望む私がいた。堪らず唇を舐めれば、博士の口紅の味が僅かにした。
「興奮しますね」
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