きみのやさしさが真ん中を刺すから

あなたは『名前を呼んだだけなのに嬉しそうな顔をする』マジェントのことを妄想してみてください。
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マジェントはハムスターよりも単純な脳味噌をしているらしい。
「帽子お洒落ね」と褒めただけで「良いだろ?刺客の給料良いからフンパツして仕立ててたんだぜ!」とヘラヘラ笑うし、「あんたのスタンドって便利で良いわね」とちょっと感心したふうに言えば「だろ?やっぱシンプルなのが強いってことだよなぁ〜!」と上機嫌になる。
単純バカ、と私はおめでたい頭の男を見ながらいつも心の中で呟いてる。そして嘲っている。
バカね、本当にバカ。滑車を回すしか脳の無いハムスターちゃんのほうがあんたより数倍も賢いっていい加減気づきなさいよ。
あぁそれなのにあんたってバカは…。

「好きよ」って私が囁いたら弾かれたようにマジェントは退いた。目を丸くしてさっきまで酔って赤かった顔を青ざめさせた表情。
なによその顔。
「ナマエよォ、あんましそういうこと軽々と言うもんじゃあねぇぜ」
「は、」
素面に戻った口調でもっともらしく説教されたから思わず眉間に皺が寄るのが分かった。
「お前はまだ若いから、俺みてぇなちょっと悪い男に惚れちまうのは分かるけど、ちゃあんと良い男見つけな」
「……マジェント、だって私本気よ?」
「駄目だ。とにかく俺は駄目だ。もっと幸せにしてくれる男見つけな。広いアメリカには金持ちで顔の良い男なんていっぱいいるさ」
子供に諭すみたいな口調で肩をぽんぽん叩かれて、なんとも言えない怒りがこみ上げてきて絶句する。なんなの、何様のつもりなのアンタ。ナマエは可愛いからすぐ彼氏なんてできるさと宥めるようにヘラヘラ笑って言うマジェントが憎くて仕方ない。胸の内がいっぱいになってもどかしい。きっと今の自分の顔は真っ赤だ。涙も滲んできた。
いつも私が名前を呼ぶだけでも嬉しそうな顔をするバカのくせに、なんでこんなことも分からないのよ。
私本気よ、本気なのよと小さくしか主張できない自分が惨めったらしい。
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