不確かなものほどうつくしいんだね

*KQ→吉良前提
私が「吉良さん」と呼ぶだけで、決まって彼のうしろにいる薄ピンクのネコは私を睨みつける。正確には顔の筋肉をぴくりとも動かさない無表情なんだけど、ただなんとなく睨んでるって雰囲気で分かる。
細い瞳孔がじっと私を見るんだけど、それが刃物みたいに鋭くてズブズブって刺さりそうで。
「キラークイーン仲良くしようよ、ね?」
「フーッ」
毛は逆立たないけどネコ独特の威嚇の声を出されて思わず出しかけた手を引っ込める。いつもはだんまりの無口な子なのに私が近づくといつもこうだ。
「吉良さんキラークイーンが仲良くしてくれません」
「これでも爆破させないようにとは言ってあるんだ。死にたくなかったらあまりちょっかいをかけるんじゃあない」
「でもこうして吉良さんと話してるだけで威嚇されっぱなしなのは居心地悪いです」
「文句があるなら爆破されれば良い」
「吉良さん酷い」
新聞を読むのに夢中な吉良さんはあまりにも冷たかった。そうしてる間もキラークイーンは吉良さんの肩に手を置いて縋り付いている。悔しくもその光景はまるでフランス映画に出てくるカップルみたいにドラマチックで、お洒落で、絵になっていた。キラークイーンは筋肉むきむきの明らかに男の身体をしているのに、どうも艶かしい色気があって女性っぽく見える時もある。スタンドだから男とか女とか関係ないのかしらん……そう思うようにしている。
にゃおんと不機嫌そうに鳴いて、大きな大きなネコは筋肉質な脚を組み替える。黒の厳つい腰巻がめくれる度に私はドキッとしてしまう。吉良さんこの子目の毒です。
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