名前に告白した・・・。
本気で好きだって思った。
今まで俺は告白される側だったから、こういうのは初めてだ。
人に"好き"って言うのは、すごく勇気がいることなんだ───。
しばらく沈黙が流れた後、名前は優しく笑って静かに頷いた。
すっげぇ嬉しかった。
「あともうちょっとだなー」
名前に見せてやりたい・・・。
俺からの一番最初のプレゼント。
名前のほうを見ると、なぜか顔色が悪かった。
さっきまで笑ってただろい・・・?
『ごめん・・・、ごめんね・・・・・・』
そう言って走り出してしまった。
何度名前を呼んでも振り返らない。
俺は自転車に立ち乗りして名前を追う。
案の定、息を切らして立ち止まっていた。
すごく苦しそうで・・・───、俺も急いで自転車をこいだ。
名前の家の近くまで来ると、また走り出す。
何でそんなに急ぐんだよい・・・。
大切にしているであろうギターも忘れて、何でそんなに急ぐんだよい・・・。
俺はギターケースを抱えて後を追う。
あとちょっとで名前に触れるというところで、玄関のドアを閉められた。
なんだよ・・・。
俺が何したってんだよい・・・。
ついさっき告白したとき、頷いてくれたじゃねぇかよい。
あれは何だったんだよ・・・・・・!
少しだけイラつきながらギターケースを脇に置き階段を下りた。
イラつきと同時に、悲しくなった・・・──。
自転車に乗る気にもなれず、そのまま立ち往生していると、向こうから見たことのある女が走ってきた。
あの日名前と一緒にいた女。
「名前は!?」
「え、ああ。今送ったとこ」
「今・・・?」
「ああ」
「今!?」
そう言ってコイツは太陽を見上げた。
なんだよ、みんなして・・・───。
コイツが来た方向から、今度は中年の男女がきた。
「おじさん!おばさん!名前帰ってきてる!」
コイツの知り合い・・・?
二人は俺を睨みつけるように見たあと、名前の家へと入っていった。
──親・・・か?
俺の目の前にはまだこの女がいた。
俺をすごい剣幕で睨んでいる。
そして右頬に痛みが走った。
「いっ・・・!なにすんだよ!?」
「あんた名前を殺す気!?」
「は!?なんだよ殺すって!?」
「名前は・・・!名前は病気なの!!太陽に当たったら死んでしまうかもしれないの!!」
──なんだよ、それ・・・───。
聞いてねぇよ、んなもん・・・───。