「うっしゃー!」

彼は私の返事を聞くと私の大好き笑顔で喜んだ。

「じゃあ、これからもシクヨロ!名前」
『うん。ブン太』

お互い名前を呼び合うのは初めてだ。
人の名前を呼ぶって、こんなに緊張するっけ・・・──?

「あともうちょっとだなー」
『・・・?何が・・・?』
「日の出!ここめちゃくちゃ綺麗に見えんだぜ!」

日の出────・・・?
嘘だ・・・・・・・・・!
だって腕時計が4時には鳴るはずなのに。

咄嗟に腕時計を確認する。
───AM:04:30。
日の出の時間は4時45分だったはずだ。
頭の中が真っ白になる・・・。

──どうしよう・・・。

「あと15分くらいだぜ!」

ブン太は嬉しそうにこちらを見る。

「あれ・・・?大丈夫かよい?」
『わ・・・私帰らなきゃ・・・!』
「え?これからのに」
『ごめん!私・・・、私本当は・・・・・・』

ブン太に病気のことを知られたくない。
きっと嫌われる───。
普通じゃない私は嫌われる・・・・・・。

『ごめん・・・、ごめんね・・・・・・』

私は家へと走り出した。
ブン太が呼び止める声を聞きながら走った。
辺りがさっきよりも薄い青色に染まる。

急がなきゃ・・・。
太陽に当たってしまう・・・!

全速力で走っているのに家になかなか着かない。
息だけが切れていく。

「乗ってけ!」

後ろからブン太が自転車で追いかけてきていた。
私は彼の後ろに乗る。
家の近くまで来ると急いで下りて、振り返らずに階段を上がった。
家はもう目の前だ。

「ちょ、待てよい!ギター!!」

彼がギターケースを持って走ってくる音が聞こえたが、今は受け取っている時間はない。

太陽が出てきた。
玄関のドアに手を伸ばす。
伸ばした手が焼けるように痛くてヒリヒリした・・・・・・。

家に入ったと同時に急いでドアを閉める。
ブン太がドアを叩く音がした。
お互いしばらく無言の状態が続く。

───もうダメだ・・・。
確実に嫌われた・・・・・・。
もう会えない・・・。

途端に涙が頬を伝って流れる。
ブン太はまだドアの向こうにいる。
声を出してなくわけにはいかなかった。
泣いている姿なんて人に見られたくない。

「・・・・・・ギター、置いとくから」

ギターケースを置く音と、階段を下りていく音が聞こえた。

───嗚呼、もう終わった・・・。
終わってしまったんだ───。



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