練習が終わって今日は真っ直ぐ帰ることにした。
最近金欠気味だし・・・。
久しぶりに駅前の公園の前を通った。
ストリートライブでもやっているのか、ギターの音がする。
別に珍しいことでもないから、目もくれずに素通り。
音楽はO●ANGE R●NGEと決めている。
バンドとかは仁王とか赤也のほうが詳しそうだ・・・。
・・・・・・アイツらってどんなの聞くんだよい・・・?
仁王が某アイドルグループとか聞いていたら笑える。
赤也は・・・違和感ねぇな、くそっ。
そんなくださらないことを考えながら踏切前で立ち止まる。
早く電車過ぎねぇーかな。
電車が通り過ぎ、踏切を渡ろうと足を一歩前に出す───はずだったのに。
突然背中に鈍い痛みが走り、俺は派手に転んだ。
ダッセェ・・・。
激ダサだぜ、そんな幻聴が聞こえてくるような気がした。
背中をさすりながら立ち上がろうとすると、俺の前に女がいた。
俺と同じ年くらい。
かなり息切れしてる・・・。
ああ、コイツのせいか。
なんか言ってやろう、そう思って口を開く。
『名字名前です・・・!』
コイツはぶつかってきただけじゃなく、俺の言葉まで遮りやがった。
それからコイツは訳のわからない事を言い続ける。
多分アレだ・・・。
自己紹介したいんだ、うん。
・・・・・・けど何でだよい。
自分の名前を何度も言ってくるから、嫌でも頭に入ってくる。
───名字名前。
つか、"好きなイチゴは食べ物"───?
なんだよい、それ・・・・・・。
そしたら今度はどっかで見たことあるような女が来た。
「ちょっとごめんあそばせ」
あー、確か同じクラスだ、うん。
え、なんでここにいるんだよい・・・。
つか今日学校来てたっけ・・・?
慌ただしく駆けて行った二人を呆然と眺めていた。
「なんだアイツら・・・?」
────変な女。
アイツの名前が頭から離れない・・・───。