「行ってくるよい」

家族にそう言って家を出た。
朝練がある俺は、家族の中で一番早く家を出る。

待ち合わせ場所のバス停に着く。
今日も俺が一番だった。

「アイツら遅ぇな」

そうぼやくと、聞き慣れた後輩の呼ぶ声が聞こえた。

「丸井せんぱーい!」

振り向くと相変わらずの天パに苦笑しながら、よっと手をあげる。
毎日ちゃんとセットしてあの髪なんだろうか・・・。
途中で赤也に会ったらしい仁王も一緒だった。

登校時の三人が揃う。
あとはバスが来るまで待つだけ。

相変わらず隣で赤也はうるさかったし、仁王は低血圧で朝はいつもより静かだ。
他人から見れば温度差の激しい三人だと思われるに違いない。

「俺ポカリ飲むっス!」

そう言って立ち上がった赤也はベンチの後ろにある販売機に小銭を入れた。
俺はその音を聞きながらガムを噛む。
仁王は・・・・・・、コイツ半分寝てね・・・?

「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「なんだよい!?」
「赤也、静かにしんしゃい」

突然後ろで後輩が叫びだした。
ビックリするだろい。

「ポカリが・・・、ポカリが・・・」
「それが何だよい!?」
「近所迷惑じゃき」
「こ、これが・・・・・・」

赤也が手に持っているものに目を向けると、そこには"エメラルド●ウンテン 甘さすっきりの微糖"と書かれたコーヒーだった。

「ぎょ、業者が間違ったんだろい・・・」
「なんじゃ、そんなことか」
「俺今月の小遣いヤバいんっスよ!」
「だから落ち着きんしゃい、近所迷惑じゃから」

コーヒーを片手に固まっている赤也を苦笑いしながら眺める俺と仁王。

しばらくするとバスが来た。

そのバスに三人で乗り込む。

いつもとなんら変わりのない毎日だ・・・───。



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