お菓子の甘さに溶け込んだ、
「なぁなぁ、#名前#」
『何よ?』
「それ」
そういって私の隣にいる赤髪は、私が持っているポッキーを指さした。
「一本くれよい」
『ブンちゃんのガムくれたらねー』
口ではそう言ったけど、コイツが他人にお菓子を渡すことは滅多にない。
弟たちに分けているのなら見たことあるが。
弟思いのいい兄貴である。
「ほれ」
『・・・ん?』
ふと隣を見ると、手の平にグリーンアップルのガムを乗せて差し出してきた。
・・・え?なに?くれんの?
え?え?何があった?
「いらねぇの?」
『あ、うん、ありが・・・とう・・・。あ、はい』
とりあえずブン太にポッキーをあげる。
「なんだよい?その顔」
『いや、ブン太がお菓子くれるって珍しいなーって』
「あー、まぁな」
『何かいいことでもあった?』
「別に。お前は特別」
・・・・・・?
今何だって・・・?
「#名前#は特別だよい」
二度も言いやがった。
特別って、特別って。
・・・・・・期待させるようなこと言うなよ。
「#名前#」
『ん?』
ブン太のほうを向くと口に柔らかいものが当たった。
視界が赤でいっぱいになる。
な、何・・・──?
「ま、ほら、あれ、こ、こういう意味だよ!」
そう言う彼の顔は、髪と同じくらい赤かった。
彼がした行為の意味を理解すると、顔が熱くなった。
私の顔も彼と同じくらいか、それ以上に赤い気がする。
口の中がポッキーの味でいっぱいになる。
さっき食べたのよりも遙かに甘いチョコで・・・───。