02


「茨、」

「マイストリーさん…」

パパとママが死んでからすぐに叔父さんに連絡をして、葬式を済ませた。
そしたら叔父であるマイストリーさんに声をかけられた。
泣いたんだろう。目も鼻も赤くて、いつも笑っているあの人とはなんだか思えなかった。


「義兄さんと姉さんが亡くなったのはすごく残念だけど、悲しいけど…茨には行ってもらわなきゃいけない場所がある」

「なんの話?」

「茨、僕と一緒にイギリスに行こう」

「…は?」


ーーーーー


あの場では話せないということで、すべてが終わってから家に来てもらった。


「…さっきは突然ごめんね」

「ううん、大丈夫だよ。それよりどういうこと?
なんでイギリスなんか…」


少し黙った後、マイストリーさんは真剣な顔をしてこっちを向いた。


「率直に言うね。
君は優秀な魔女の血を継いでる」

「魔女…?」


ということは、ママは魔女だったってこと?
じゃあ、マイストリーさんは?


「僕もだよ」

「え?」

「口に出てる」


そう言って笑われた。
ちょっと恥ずかしい…


「ママやマイストリーさんが魔法使いだなんて知らなかった」

「だろうね。
姉さんは普通の人間として生きることを決めたし、僕だって人前で魔法を使うわけにはいけないからね」


とんでもないことを教えられているはずなのに、あたし、こんなに落ち着いてるなんて。
むしろドキドキしてる。
これからが楽しみで。
少しは混乱してるのも自覚しているし、ママとパパの死っていう悲しみが軽減されたわけじゃないのに、にやけてしまいそう。


「ふふ…」

「茨?」


今更になって疲れが出てきた。
笑うだけでもこんなにぐったりする。


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