04
暗い森から急に日の光が差し込む世界に入り込んだせいで、思わず目を閉じてしまう。 しばらくしてからまわりの景色に目を向けると、大きな城がそびえたっていた。
「城…」 「でかいだろ。あれが学校」
ありえない…
「ま、初等部から高等部、大考部まであるから当然だな」 「だいこうぶ?」 「うーん…大学と大学院が混ざった感じ、かな」
教えてくれながら歩いていく先生を追いかけ、まわりを観察する。
猫女に蛇男、魔女、小さな妖精までいる。 …夢みたいだ。
「手続きするから職員室行くぞー」 「はーい」
校舎に足を踏み入れた瞬間、今までと違う空気があたしにのしかかる。 重たくて、刺々しくて、妖気であろう禍々しい感じが息苦しくて、顔をしかめてしまう。 うまく言葉にできなくて、絵にもできないような感覚に、あたしはただ背中にじっとりしたものを覚えた。
「大丈夫か?」 「…はい」 「お前ならすぐに慣れる。 それまで少し我慢しろ」
先生についていくだけで精一杯で、周りの景色なんて見えてきやしない。いつのまにか職員室の先生の席まで来てしまった。 あれ、個室だ。 全然苦しくない。
「推薦したのはマイストリーだったな」 「はい」 「お前の家のことは聞いてる。お前に流れる血のこともどう育てられたかも」 「はぁ…」 「血についての説明は学園長の気分しだいだな」
ため息交じりに学園長のことを話す先生。そんなに自由人なんだろうか。
「若いがかなり優秀でな、歴代最年少で学園長って役職に就いたんだ。だが変わりもんでな…」
苦笑しているもどこか楽しそうで誇らしげなのは、その学園長が好きだからなんだろうな。 はやく会ってみたい。
「俺からは後日呼ぶように伝えるが、あいつのことだ。今日呼ばれるだろうから覚悟しとけよ」
あはは、と笑えばシュタイン先生も優しく笑ってくれた。 …いけめん
「にしても、ミストとマイストリーと同じ血が流れてるなんてなぁ」 「血ってそんなに重要なんですか?」 「ああ。詳しくはここで生きていけばわかるさ」
ふーん… なんだか意味深だな。
「そういえば、なんでママや叔父さんのことを知ってるんです?」 「俺の教え子だからな」 「おしえご?!」 「え?あぁ、俺見た目年齢変わんないからな」
お前の何倍生きてるかな、なんて悪戯っぽい表情をする先生は、本当に年齢不詳のイケメンだ。
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