I love youを君に


太月/甘/雪之丞



「また今日も告白されてたらしいじゃないか、羨ましいこった」

「うーん、まぁね」

ははっと笑う太陽は、頭悪いし字も下手だしやたらと俺にアピールしてくるガチホモ星人なのにたいそうおモテになる
俺と違って昔から顔と性格だけは良いから当然といえば当然なのだけど何だか納得いかない

「あの、太陽君…ちょっとお話が…」

なんて考えているとほら見ろまただ
うちのかぐや程ではないが、とても可愛らしい女の子が頬を染めながらこれまた可愛らしい封筒片手にチラチラ此方を伺いつつ太陽に話しかけている
ハイハイ告白タイムね、全く俺が居てもお構いなしか!ヘッ!

「じゃあ太陽、俺先に帰ってるから」

「あ…ちょまっ…」

「じゃあなー」

「う、うん」

「太陽君、コレ…」

俺は女の子の声が聞こえ始めたので「おっ邪魔者はぁさっさと退散っすっるぅぜ〜」なんて作詞作曲俺、の歌を歌いながら家路を辿った






10分程経って太陽のヤツ今頃あの子とちちくりあってんのかなぁ…
口内で密かにリア充死ねー、爆発しろーなんて口ずさんでいると「お兄様、メール!早く見てよぅ…お兄様、」と携帯からエンドレスで流れる我が妹のエンジェルボイスもといメールの受信音

パカリと携帯の受信フォルダを開くとfrom太陽の表示とともに踊る『このあと家に来て』の文字
てかあれ?本当にこの文字踊ってね?太陽の奴、また勝手に人の携帯弄りやがったな

取りあえず『分かった待ってろ』とだけ返信をして俺の家とは反対にある太陽の家へと足を向けた





ピーンポーンと太陽と同じように軽快な音でもって来客を告げる呼び鈴を鳴らすと待ってましたとばかりに玄関が開かれる

「お邪魔します…」

「どうぞ…」

通された太陽の部屋でいつものようにクッション片手にダラダラしていると、何故だか初めて手伝いをした幼児のように危なっかしい足取りでジュースと菓子を持ってくる太陽

見かねて手を出すと「あっ、ごめん」と謝られた
普段であれば、これ当然とばかりに俺にジュース持ってこさせるのに


珍しい


ジュースと菓子を折り畳み式の簡易テーブルに落ち着けると、通学鞄をガサゴソと漁り握り潰されたような後の残る、やけに見覚えのある封筒を静かに手渡された

「見ても良いのか?」

「うん」

すと渡されたペーパーナイフで手紙を開けると中に入っていたのは俺宛のラブレター

「なにこれ?」

「さっきの子に渡してって言われた」

「なんでこんなグシャグシャ?」

「僕が潰したから」

「ふーん」

頷いてラブレターを読み進めていると抱き付きオバケという名の太陽が哀しげな瞳で見つめながら横から腰にぎゅっと掴まってくる

「なんだよ…」

言外に人生初ラブレター読んでんだ、邪魔すんなというメッセージを込めたが全く伝わっていないらしい
更に抱き付く力を強められた

「それ、受けないよね?」

「え?」

「ラブレター…あの子絶対性格ブスだよ」

「なんでわかるんだよ」

「だって月にラブレター渡していいのは僕だけだもん」

絶対断ってね、と念を押されてコイツって馬鹿だなぁとしみじみ思う
実は俺だってコイツに相当惚れてんのに

「ね!だからね!絶対うんって言っちゃ駄目だよ!」

「はいはい」

「やる気ない!断んなきゃ僕泣くんだからね!」

っくくっと込み上げる笑いを堪えるように投げやりなはいを繰り返すと怒られた

「分かった分かった、因みにお前はいつ俺にラブレターを寄越すんだ?」

「へ?」

「お前がうかうかしてるから俺のラブレターヴァージンはあの子にかっさらわれちゃったぞ?他のヴァージンもお前以外の奴に捧げちゃって良いのか?」

「はっ…!だ、だめっ!太陽は僕のもの!」

「じゃあ、どうすればいいかわかるだろ?」

「待ってて!」

ドタドタと鞄から出したノートの最終ページを開きビリビリ破った紙を渡される

「月のこと、好きっ!」

手渡されたノートにはお世辞にも綺麗とは言えない字で書かれたアイラヴユー

渡された紙に書いてあるI lavu youを添削して、俺は「俺も」の言葉と共に太陽の額にラブレター押し当てた


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