くそくらえ!


太月、土木/学パロ/音都



僕はウキウキしている!何故か?それはもちろん夏休みを目前に控えているから!夏休みになったら月影の家に行ってバーベキューとかしたいな!あ、あと花火とか、それから大地の家が海に近いらしいからみんなで海に行ってすいか割りして、炎なんかとはビーチバレーも楽しそうだな。


「というわけで勉強教えてください」

「あは、どういう訳かわかんねえよ。つまり、え、どういうこと」

「いやほら、テスト点数悪いと夏休みの大半を講習に費やさなきゃいけないじゃないですか。そしたら僕の華麗なる夏休み計画が丸つぶれなわけだよ!」

「ふぅん、別に知らないしなあ。だって俺にその計画関係ないもん。俺には俺の木蓮とのランデブーが待ってるんだ!」

「「黙れ」」


流星が木蓮の話で張り合ってきた瞬間、僕らの頭には拳骨が落とされた。その犯人は僕の大好きな月影と、話題に上っていた木蓮だった。


「月影!どうしたの!もしかして僕に会いたくて」

「そんなわけないだろう。ほら流星、この間言っていたノートだ。休んでいたところは解説も書いておいたぞ」

「ありがとう月影…!俺今度絶対お礼するから!」


のぞき込むと、月影の性格を表すように整った字が、たまに色ペンを使いながらわかりやすくまとめられていた。これが学年トップの実力か…!


「月影の用事はわかったけど、木蓮はどうしたの?君3年だろ」

「ああ、流星に呼ばれたんだ」

「そっか、ね、勉強教えて?」

「月影に聞けばいいだろう。何故私にきくんだ」


木蓮はわかっていない。確かに普段はツンデレだが温厚で、おしとやかな大和撫子だ。だがしかしばっと!勉強を教えるとなったらとことんスパルタで、何度泣かされたかわからないくらいだ。きっと月影は飴と鞭という言葉を知らないに違いない。特に飴!そのぐらい厳しい月影に教わっても、残念な僕の脳味噌には一向にシワが増える気配がないもんだから、月影はさらに僕に厳しくするんだ。


「だから遠慮するね」

「よくもまあそんなことを本人の前で言えるな」

「月影が厳しいのが悪いー」

「違うでしょ、太陽が馬鹿だから悪い」

「妾もそう思う」

「このインテリどもが!」


思わず舌打ちをしてしまうくらい、僕の周りには頭のいい人が多いのだ。というよりも、僕と炎以外みんなAクラスじゃないか?僕は底辺のCクラスです!悔しいけれど覆すことのできないこの現状。僕だって努力ぐらいしてるんだよ。


「別に妾だって厳しくしたくてしてるんじゃない。お前が付いてすらいないゲームに釘付けになったりスリープモードに入ろうとするから怒るんだろう。間違えたぐらいじゃ妾も怒ったりしない」

「太陽、それ自業自得っていうんだよ」

「てへ」

「勉強ぐらい妾に聞け。集中してやれば誰も怒らぬ」


その月影の言葉に甘えて、テストまで毎日学校に残って勉強した。たぶん一生分ぐらいやったかな。そんなこと言ったらまた流星に馬鹿にされるんだろうけど。
そしてテスト当日も、なかなかに手応えがあったし、月影と答え合わせをしてみても当たってるところが多くて褒められた。
でも現実はそんなに甘くなかった。返却日、僕は全身から血の気が引いた。そりゃもう音をたてるくらいだ。簡潔に言うと、段ずれだ。しかもほとんどの教科。もともと自信のあった英語や国語をのぞいたものがすべて段ずれしていた。


「どうしよう…!」

「何がだ?」

「っ月影!」

「ああ、そうだが」

「テストっ、どうだった!」

「国語は満点、それ以外も90以上だ。ああ、英語は80代だったな」


ケアレスミスしてしまった、と悔しがる月影に、僕は何も言えなくなる。機嫌が良ければなんとかなるかと思ったけど、これは言い出せない。言ったら怒られる。どうしようせっかく教えてもらったのがパーだ。


「…たいよう?」

「ひっ?」

「何ぞ、これは」

「…!」


もやもや悩んでる間に月影がテストを取ったらしい。気づかなかった。点数をみてヤバい顔をしている。すごい悪人顔。


「俺が教えてやったのに何故こんな点数が取れるんだ」

「あ、あの、ごめん、段ずれしちゃって…あは、は…」

「…」

「ごめんなさい…」

「怒るの通り越したわ。呆れた」

「ごめんよ月影ー…」

「別に妾は困らんからな。嗚呼、貴様の華麗なる夏休み計画とやらが無駄になるか。でもそれも妾には関係ないからのぅ」


そうだ、華麗なる夏休み計画!僕と月影の素敵な計画が!月影をよく見ると、確かに呆れてもいるけれど、そこに微かな残念さを含んでいて。そうか、月影、もしかして楽しみにしてくれたのかな。


「月影!」

「な、なんじゃ」

「僕頑張って講習終わらせるから!そんでその後、一緒に遊びまくろうね!あと、あれ、すいか食べようね!」

「なんなんじゃ急に。とち狂ったか」


ふ、と馬鹿にしたように笑ったようだったけど、確かに嬉しそうで、こっちまで嬉しくなってきた。でもやっぱりテストなんてくそくらえなんだ!





―――――
日記に書いたような
書いてないような…


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