向日葵




「ね!ね!僕ってさぁ、ヒマワリに似てると思わない?」

情事の後が色濃く残るベッドの上、ピロートークにしてはやや頭の悪そうな話題をピッチングしてきたのは俺の恋人である太陽だ

まぁ確かに雰囲気も見た目も底抜けに明るく派手で誰からも好かれやすいコイツが向日葵に似ているという話に賛同は出来る、が
正直そんなことを自分で言うということも、ましてやこんなときに言うことにも空気読めよとかナルシーかよなんて思考を多分に含んだちょっと不躾な視線でもって眺めると「むふーっ!」っというなんかちょっと変な鼻息でもって返ってきた

あ、やばい
こういうときのコイツってなんか面倒くさい話し始めるんだよな

「あんね!あんね!ひまわりってあれなんだって!」

そらきた
しかも人の返事すら聞かずに話し始めてるし
まぁ、俺もだるくて返事してないしおあいこか

「花言葉!知ってる?」

「花言葉?」

空中に指で適当なはなまるを描きコキンと首をかしげる太陽に、そろそろ返事の1つくらい返してやろうかと俺もコキンと首をかしげてとりあえず鸚鵡返す

「そう!向日葵の!
私はあなただけを見つめるっていうのなんだけどね、僕も月一筋だから一緒だなぁ…って」

「へぇー」

「だから今度月に僕が育てた向日葵プレゼントするね!僕の気持ち!」

「恥ずかしいやつだな」

「えへへー!」

すると少し得意になって無邪気に大輪の向日葵よろしく輝かんばかりの笑顔と言葉をプレゼントされてしまい、頬に熱がたまり微妙にニヤついたため息が零れてしまう

「…でもなんか癪だな」

「え?」

「だって向日葵ってずっとお前のこと見つめて育つんだろ?
お前の全部見ていいのは俺だけなの」

ひひっと笑ってやると顔を赤らめた太陽にがばりと押し倒される

「ちょっと、重いって!」

「だって月かわいいんだもん!つきー!」

きつくぎゅうぅと抱きしめられ、キスをするために少し離れて太陽の瞳を覗き込むと中には俺だけが映っている
きっと俺の瞳にも太陽だけが映っているのだろうと用意に想像がついたところで二つの唇は慎ましやかに甘いリップ音を立てて重なり合った





「(私の目はあなただけを見つめる)」






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