私のことを本当に愛しているというのなら、あなたの言う私への愛が真実本物だというのなら、その愛で私が死ねることを証明して見せてよ。方法は問わないから、私が納得し得るだけの証拠と論理を提示してよ。


私を愛しているのが自分で、唯一つ自分が信じている命題なのだと、前にあなたは言ったでしょう。つまりそれは、あなたではない人は私を愛していないことの証明に他ならなくて、それってなんて残酷でむごたらしい悪口なんだろうって思ったのよ。


演繹的に考えないで、帰納的に考えてみてほしいの。そうしてよく考えてみて。ねえ、一般的に、人っていう生き物は自分を好いてくれるものを好きになる傾向があると言われているのかもしれないけれど、そこから私の行動を推察することはできないわ。


解は一つじゃないと思うのよ、私もね。その点についてはすごく納得してるし同じ考えだわ。でもあなたの提示した解は間違いだと思うのよね。だって計算過程が見えない、証明過程が見えない。仮定の直後に結論を持ってきちゃあだめでしょう?その理由を説明しなさい、って言っているのだから。


まるで私が悪いように言うのよね、あなたは。けれど私に言わせてみればあなたの方がよほど醜悪だわ。理屈が通っていない、論理も存在しない、最早恐怖を覚えるわね。あなたも同じように感じているようだけれど。






どうすれば君に信じてもらえるのかがわからないんだ。わからないけれど信じてほしい。僕が君を愛していて、それはまさに真実の愛で、間違いなく運命なんだよ、少なくとも僕にとっては。


君の難しい話は少しだけ苦手だ、まるで試験を受けている気分になる。僕の何が君を不愉快にさせてるのかわからないけれど、謝るから許してほしいな、こんなにも愛しているんだから。


どうしてそんな話になったのかがやっぱりわからないけれど、僕にとっては好都合かもしれないね。だってこの世に君を愛しているのが僕だけなら、君を誰かに盗られたりしない。僕だけの君ってことだろう?


君の意見が、どうやら僕とは違うところにあるらしいことはつかめてきたけれど、そんな風に突き放す必要はないんじゃないのかな。答えは必ずしも一つとは限らないんだし、君こそ少し落ち着いて考えてみてほしいんだけど、案外悪くない答えで、僕にしてはうまく解けた方だと思うんだよ。


やっぱり君の言葉は難解だね。もう少しわかりやすい言葉で、もう少し伝えようとしてもらえると、僕としては助かるんだけれど。やっぱりコミュニケーションってものはさ、お互いがお互いに相手を思いやってこそのものだろう?僕らは互いに愛し合っているんだから、愛してるだけで十分なんだよ。







そうしてねじれの位置にある二人は、決して交わることはないのでした
(数学少女と文学少年の独白)



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