ーーー私の名前を呼んだのは誰だったか。
4人が一斉にこっちに向かってくる。
(うおおおお…ひぃえええ!?)
「志那さん無事ですか!?どこか遠くに怪我など…、あ、頬が……!」
「いや、これぐらい大丈夫だから敦くん、平気だから慌てないで」
詰め寄る敦くんを押しのけ前に出てきた龍之介くんとと中也さん。
「志那さん…僕が不甲斐ないばかりにそんな傷を…、やはり殺しておくべきだった…」
「それには激しく同意だな、芥川」
「いや、殺しはやめてくださいね!!!私は無事です!ピンピンです!!!」
「芥川くんも中也のーいーてっ!志那ちゃん…本当に大丈夫なのかい?」
ほら、と体を動かすも納得のいかないと顔に書かれた視線が4つ。
「ほ、ほんと無事ですよ!?ほ、ほら!!!」
更に体を動かすも顔には納得いかないと書いた視線が4つ…。
(というか早く解放して欲しい…じゃないと強がってるのがバレてしまう)
無理に笑顔を作りほらほら!って手を振るとその手を太宰さんにがしり、と掴まれた。
「志那ちゃん、ここには私達、いや私しかいない。無理に笑顔を作る必要は無いんだよ」
「だ、太宰さんったら何を仰ってるんです?もういつもみたいに冗談言っーーー」
でも私の言葉は真剣な顔をした太宰さんに阻まれた。
「志那ちゃん、私はこの事に関して嘘を言うつもりは無いよ?ーーーもう一度言うよ。無理はしちゃいけない」
「だ、だざ…っ、」
私は1度言葉を区切り言った。
「ほ、本当は怖かったんです…知らない男の人にレ、レイプされるかと思って…っ、自分は力を持ってるのに恐怖には勝てなくて、情けなくて…、ほんっ、本当は皆さんが来てくれて嬉しかったんです……」
ーーー大丈夫、涙は出てない。
「だから…ありがとうございました、皆さん」
私は皆さんに向かって長い礼をした。
だから皆さんがどんなに顔をしてるのか私は分からなかった。
*
「…私の能力は念動能力と瞬間移動と簡単な治癒。念動能力は中也さんとあまり変わらないと認識してもらって構いません。瞬間移動は私が思い描いた場所に相手を自在に好きなところに移動させれるのと壁にのめり込まさせたり出来ること。治癒は名前の通り治癒能力です。完全治癒とは行きませんが応急手当や止血など様々なことができます……」
倉庫をあとに4人で歩いてる中、私は誰にでも言われる訳ではなくポツリポツリと自分の能力を語った。
(絶対にばらさずに生きていこうと思ったのに…でも、こうなってしまった以上仕方が無いよね…)
「…以上です。あとつけ忘れましたが私のは異能力ではなく超能力なので太宰さんの異能力無効化は効きません」
私の話に誰も相槌を打つ訳ではなくただ静かに聞いてくれた。
この話をして悪用されるかもしれない…でも今は、されない気がして話してしまった。
後悔するかもしれない、でもそれは自分の蒔いた種であり自己責任だ。
「……湿っぽい話はなしにしましょ!皆さん、何で私を助けに来てくれたんですか?」
と、問いかけると何故か無言な4人。
(な…、何故?)
暫しの沈黙があった。
それを破ったのは敦くんだった。
「それは秘密にしてくださるとありがたいなー、なんて…」
「???」
私の頭には?マークが浮かんでいるが4人はそれぞれ顔を逸らしている。
(ふ、触れない方が…いい、のかな?)
と、考え私は何も言わず皆何も言わずそれぞれの家路に着いた。
*
武装探偵社、ポートマフィアに届いた果たし状の内容はこうだった。
"間抜けな貴方方にこの娘は助けられますかな?"
と1枚の写真が添付されていた。
その写真には胸がはだけ男に乱暴されている志那の写真だった。
顔は眠っており気づいていないようだった。
その事に4人は揃って思ったのだった。
ーーー男、殺す、と。