ーーーーバァン、と盛大に扉が吹っ飛んだ。
当然中にいる私も監禁している人達も驚いた。
だがリーダー格と思わしき男は特に動じずニヤリと笑い吹っ飛んだ扉を見ていた。
「あァ"?この扉蹴ってしかいないのに簡単に吹っ飛びやがった」
「流石中也の馬鹿脚力。見事に吹ッ飛んだねぇ〜」
「うるせェクソ太宰。この扉が脆すぎンだよ」
「志那ちゃん無事かな〜?」
「だ、太宰さん!中也さん!」
私は驚きを隠せないでいる。
リーダー格の男の発言からなんとなく探偵社かポートマフィア辺りが来るのかな?と想像はしていたがまさか、あの、仲が悪すぎる2人が来るとは思っていなかったのだ。
想定外のことだ、正直あんぐりと開いた口が驚きのあまり閉じない。
「撃て!」
と、誰かが言ったが言ったがその弾は全て空中で止まりパラパラと落ちていった。
中也さんの異能力ー汚れちまった悲しみにー重力操作だ。
「あンなクソみたいな文でこちらをおびきよせておきながらコイツら弱ェな」
中也さんは喋りながら次々と私の周りの男達を殴り倒していく。
一方的暴力もいいところだ。
そして太宰さんはいつ来たのか私の後ろに立ちロープを解いてくれた。
「あ、ありがとうございます…」
「可愛い可愛い志那ちゃんの顔に傷が出来てるのがこいつらの難点であり許し難いところだけどね」
「あ、はは…どうも」
なんとも言えず苦笑する。
「おいクソ太宰、こっちは粗方片付け終わったぞ」
「お疲れ様中也。こっちもお姫様の救出は終わったよ」
(お姫様って私…?え、寒い)
「最初に居たリーダー格っぽい男とその手下一人がいねェな」
「多分逃げたんじゃないかな。まぁ、そっちもあの二人がやってくれるでしょ」
(あの二人…あの二人ってまさか、まさかだけど…)
「まさか…」
私が言おうとしたことを理解したのか太宰さんは微笑みながら言った。
「もちろん君の予想通りだよ」
(えー…私一人に対してその総出ってやばくない?ボス死んでない?生きてる?大丈夫?)
「太宰さん、私ボスたちのいる所に心当たりがあるんです。行かせてください」
何気にさり気なくなんでか知らぬが私は太宰さんに抱きしめられてる。
その手をなんとかして離そうとしながら尋ねた。
「なんで?志那ちゃんが行く必要あるの?」
「何がなんでもあるんです。それにこれは私の事です。自分でケジメをつけます」
「……ーーその力を使わないようにしてたのにか?」
「…ッ」
中也さんに言われポートマフィアにまで話が通ってるのかと一人落胆するが襲撃事件もあるし前のこともある。
バレてない方が可笑しい方だ。
「それでもこれはー私の問題なので」
私は太宰さんの腕から脱出すると走りながら目星き場所に向かった。
*
「はぁ、はぁっ…」
久しぶりに全力で走ったせいか息切れをおこしている。
(それでも前へーボスと思わしきところに行かなくちゃ)
ボスと思わしき場所に辿り着くと予想通りー敦くんと龍之介くんがボスと戦っていた。
ー喧嘩をしながら。
「こらーっ!二人ともやめなさい!!!」
私は着くなり叫んだ。
その声にビクッと身体を震わせ動きを止めた敦くんと龍之介くん。
「志那さん!?よかった…!」
「…志那さん」
二人とも私を見るなりホッと安堵した顔をし油断した所ーボスと手下の一撃が入った。
「ぐっ」
「…ッ」
「敦くん!龍之介くん!」
私は急いで二人のところに駆け寄る。
「貴方達、用があるのは私なんでしょう?この子達を巻き込むのも他の人達も巻き込むのは辞めて。用があるのなら私にしてちょうだい」
「おやおやお姫様…囚われてたままが楽だったのに」
「…何がです?それに私は貴方達を倒すために来たんですから」
私は二人を庇うようにして立つ。
それに慌て私を止める二人の声に聞こえないふりをして敵陣に突っ込む。
「これも予想通り」
「志那さん!その人先の攻撃が読めるみたいで…!」
「大丈夫よ、その異能力、私には効かないから」
そして私は力を使い上から彼等を地面に押し付ける。
「うっ、それはよそうが…!?」
「おい、ぼ、す…!」
私の攻撃が予想外だったのか地面にめり込む二人。
「私の能力が瞬間移動だけだと思ったら大違いです」
そして地面にめり込む二人を他所にそこら辺に転がっているロープで二人を縛り武器がないのを確認し、能力を解く。
そして鳴り響くパトカーの音。
悔しそうに顔を顰めるボスと手下の二人。
私は軍警に二人を引渡した。
これで私達の戦いは終わったのであった。