※突然の暴力表現、流血表現、無理矢理表現あり
「本当にこの平凡顔した少女が武装探偵社もマフィアも狙ってる女なのか?」
「ああ」
「こんな平凡な女のどこがいいのか…」
「だが武装探偵社に来たマフィアを一掃したという噂もある」
「本当にこの平凡顔がか?」
「俺の異能力を忘れたのか?」
「…っ、ああ、疑ってすまねぇ…」
「とりあえずこの平凡顔女を捕らえておけばどちらかが確実に釣れ潰せる」
「両方ともに脅迫文は送ったんだろ?」
「ああ、抜かりはない」
頭上で男二人の会話が聞こえる。
藤宮志那、ただいま囚われの身で額に銃を押し付けられ手と足を後ろで拘束されております。
(あと平凡顔平凡顔ってうっせーぞ。気にしてんだから何度も言うなし)
こんなことになったのは数時間前に遡る。
*
武装探偵社の1件、マフィアの1件。
あまりにも物騒すぎる。
そうだ!お祓いに行こう!と思ったが吉日。
今日は喫茶うずまきのバイトもお休みだ。
私は近くの神社ではなくお祓いにいいと言われてる神社に少し遠出をして行こうと思い来ていた。
季節は春。
白のワンピに黄色のカーディガン、白のヒールサンダル。
どこからどう見ても通行人Aの服装でありこんな人がお祓いに来るとは思っていなかったかだろうが、しかし、私は来ていた。
それはもう気持ちを込めてお坊さんに言い高いお金を払って祓ってもらった。
そして私は仕事をしてからずっと貯蓄していたお金を貯め頑張って買った新車のK4、N BOX黒に乗り込もうとした時だった。
突然背後から布みたいなので口元を覆われ焦り抵抗した。
だけどその布には薬でも染み込ませてあるのか遠のいていく意識。
(N黒ちゃん…)
車に手を伸ばしたまま私の意識は遠のいていった。
*
実はN BOXの黒の車は元の世界にいた時に貯めていたお金と今働いているバイト代を兼ね合わせたものなのだ。
たまたま通帳とカードもこの世界に持ってきたみたいで試しにコンビニのATMでカードを入れたら使えてお金を下ろし、生活費の足しにしていた。
元々仕事してはお金を最低限使わずずっと溜め込んでいたので車を買うぐらい余裕な金額をいっていたため一括で買いN黒ちゃんという名前をつけ慣れしたんでいた。
元の世界でも車の運転はしていたし免許も持っていたので特に問題はなかった、と微睡みの中で考えていると頭に冷たい物がかけられた。
恐らく水だろうと思い目を開けようとした瞬間、右頬を殴られた。
「…っ」
その威力が大きかったのか口の中が切れ血の味がした。
「おいおい、リーダーにこの女は人質なんだから丁重におもてなししろと言われただろ?」
「だがよー、見張り番も暇でね。こんな平凡顔でも殴って犯したら少しでも楽になるかなと思ってな」
「そうだな、暇だし犯そうぜ。そんな平凡顔でも欲求は満たされるだろ。胸だけはあるみたいだしな」
「じゃ、俺口に突っ込んでいーか?」
言い訳ないだろ、と思いながらペッ、と口の中の血を吐く。
そして改めて見るとどこかの倉庫らしく中は薄暗く気味が悪かった。
私の視界に映るニヤニヤ男は2名。
手足も縛られ自由に身動き出来なかった。
「んじゃ、早速俺からね〜」
「…っ!?」
私が驚いて悲鳴も抵抗出来ない所に男は漬け込み私の服を脱がせると言うより脱がせるのがめんどかったのだろう、真ん中をビリッと破られた。
そして触られる胸。
(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い…)
声に出して言いたいけど恐怖の方が勝って何も言えなかった。
「こいつの胸マジやわらけー。平凡顔の癖に胸だけは気持ちいいって最高だな」
「…ゃ、ぁ」
「本当か。じゃ、俺も―」
もう一人の男がズボンのチャックに手を伸ばした時だった。
「やめろ」
その低い声は静かな倉庫によく響いた。
「おまえたち、何をやっている。俺が下した命令とは違うことをやろうとしてたと見受けられるが?」
「リ、リーダー!」
リーダーと呼ばれた人に目を向けてみる。
顔立ちはどこにでもいそうな風貌だが雰囲気は悪者です、という雰囲気だった。
「その平凡顔から手を離しこちらによこせ。もうすぐ2つの勢力が来る。見せしめに置いておかなくては行かない」
「は、はい!リーダー!」
リーダーの男の言葉通り胸を触っていた手とズボンのチャックに伸びていた手が普通に戻り無理矢理立たされリーダーという男にポイ、と投げられた。
「さぁ、お前はこっちだ」
リーダーの言葉通り私は俵担ぎされ別の場所へと移動した。
*
そして会話は冒頭に戻る。
(2つの勢力ってまさか武装探偵社とポートマフィア…?まさか、そんなわけないよね)
まずもってありえない。
あの2つの勢力が私の為に動くとは思えない。
だが私に考えられる2つの勢力といえばその2つだ。
でもそんなの嘘っぱちでどうせ来なくて私は処刑でもされるんだろう、と思っていた時だった。
扉が派手に吹っ飛んだ。