ストン、と座らされたソファ。
目の前には太宰さん、乱歩さん、社長の3人。


「で、さっきの"力"の説明してくれるかな?志那ちゃん」

「え、と…あれはできるだけ言いたくないなー…なんて」

その途端にっこり笑顔が深まった太宰さん。

(ヒィイインンン死ぬ死んじゃうー!!!!)

「乱歩」

社長―福沢さんが声をかけるとだるそうにもはーい、と答えた乱歩さん。

「藤宮志那。年齢22。彼氏なし。下の喫茶うずまきでバイト中。勤務態度はごくごく真面目そして、」

1度言葉を区切った乱歩さん。

「武装探偵社の目の前に突如現れた少女。身元不明。わかるのは彼女が1度死んでること。それも車に轢かれてこのヨコハマで」

(え?私が倒れていたのは武装探偵社の前?しかも死んだのはこの世界?元の世界じゃないの?どういうこと?)


「そして内に秘めた異能力とは違う力。その力の事は僕もわかんないなーなんかロックされてる感じ」

「そして貴君を武装探偵社の目の前で拾ったが与謝野先生に見せ異常がなかったので喫茶うずまきのオーナーの前に倒れていたことにしてくれ、とオーナにお願いして寮は武装探偵社の寮にした」

「何故そのようなことを…?」

「簡単だよ。社長は志那ちゃんを天秤に振るいかけてたんだ。善人か悪人か」

「私は一般の善人ですが…、できれば争いごとに関わりたくない」

争いごとを強調して言ったが華麗にスルーされ福沢さんに言われた。

「貴君は2ヶ月の間力を使おうともせず何も問題を起こそうとしなかった。それに真面目に働き他を重んじていた。そこを見込みこの探偵社に入ってほしいと思ったのだ」

「一種の入社試験ってやつだね」

「入社試験…」

(まさか私が監視されてるとも思わなかったしこの二ヶ月間この世界に馴染むことで頭いっぱいで力なんて使おうとも思わなかったし使う機会なんてないと思ってた。でもさっきの、黒蜥蜴の襲撃。まさかこれも乱歩さんの推理通り…?今日私がここに来て彼等をどうするのかを)

なんて憶測を考えていたら当たりというようにニコリ、と微笑む太宰さん。

「とりあえず大体の事情はわかりました。ですが何故私を武装探偵社に入れようとしたのですか…?」

「異能力ではないその力、悪より善に使うに越したことはないからな」

「ですが私は武装探偵社には入りません。元通り喫茶うずまきでバイトします」

「それはなんでだい?」

「私には入るメリットもなければ入る理由もありません。それに争いごとは嫌いです」

「でも君ボートマフィアに狙われてるんでしょー?さっきおじさんが言ってたし」

「それこそ迷惑をかけるわけには行けませんし自分で何とかします。では、私はここで失礼します」

立ち上がり去っていこうとした背中にかけられた声。

「…、志那さん!」

「えと、貴方は…」

「僕、中島敦って言います。僕も理由あってポートマフィアにに狙われてます!でもここにいればみなさんが守ってくれますし…身の保証はいいと思います。また喫茶うずまきでバイトして襲われたりしたら…、」

「ポートマフィアはそんなことしないと思いますよ。上に武装探偵社があるんですから」

「…っでも!」

「ありがとうございます、敦くん。でも私は自分の身は自分で守ります」

と言い止めていた足を動かし武装探偵社を降り喫茶渦巻きに戻った。


ドッキリどんどん心臓が飛び出たらどーしよ!?どーする!だったよ!

と後に彼女は語った。