ドドドっと心臓の音が聞こえて今にでも心臓が飛び出しそうだ。
武装探偵社、と書かれた扉の前で私は暫く呆然と立っていた。
片手には紙袋。
手汗で紙袋の紐は多分びちょびちょだろう。
私は元々この武装探偵社に関わる気もなければ関わりたいと思っていなかった。
だけどそれを覆す出来事が起きたのが今朝の事だ。
*
「ありがとうございましたー!」
と、一礼してお客様を見送る。
すっかり喫茶うずまきの店員になれた頃。
私がこの世界に飛ばされて2ヶ月ちょいだろうか。
お客様が座っていた席の所を片付けながら思い出す。
元々私は元の世界でスーパの店員をやっておりこういう接客業には慣れている。
それにスーパーの店員になる前は某有名な牛丼屋屋さんで働いていた。
あの頃は若く自転車で片道30分以上かけて行く上に帰りが遅くなることが多々あり親に辞めなさいと言われ辞めたのも懐かしい話だ。
もう、その両親とも会えないのかな…、と思うと少ししんみりしてしまうので考えるのを辞める。
「志那ちゃーん」
「はい、今行きますー」
オーナーに呼ばれ食器片手にオーナーの元に行く。
「なんの御用です?オーナー」
「実はな上の武装探偵社に届け物をして欲しくてな」
(え゛、何故私が武装探偵社に!?かかわらないようにしようの1つワースト2だよ!!因みにワースト1はポートマフィアだ)
と、でかかった言葉と思考を飲み込みオーナーに尋ねる。
「それならオーナーが行くか他の方が行った方が…私新人ですし武装探偵社って警察でも負えない荒事を受けている所なんですよね?なんでも異能力集団だとか…私、怖いです…」
私無理!か弱いオーラーを出しながらオーナーに言うも、
「他の子は今お客様の相手をしているし丁度手が空いてるのが志那ちゃんだったんだよ」
オーナーの言葉通り店内を見ると確かに先輩達は他のお客様の接待をしている。
(た、確かに手が空いてるのが私だけだ…丁度お客様を見送った後だし…)
「これ、新作のケーキ。是非試食してみたいと言われてね。作り次第社長や他の子達に味見をしてもらい商品化するか決めようと思っててね」
と、言い渡された紙袋。
(何だろう、この紙袋重たいな…HAHAHA。紙袋ってこんなに重たいものだったけ)
気が重たくなる。
そんな私を見てかオーナーは私の緊張をほぐすように言う。
「何、皆いい人だよ。怖い人なんていない」
(それは原作もアニメも見ているので知ってます!!!とは言えない…)
「ま、とりあえず頼んだよ志那ちゃん。生物だから保冷材とかいれてるけど早めに渡してね」
と言われ背中を押され私は強制的に喫茶店うずまきから出された。
*
そして冒頭に至る。
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙どうしようどうしようと悶々と悩んでいるとガチャ、と開いた扉。
「君、いつまでそこに立ってるの。ここに用があるんでしょ?早く入れば」
顔を出したのは江戸川乱歩だった。
(生江戸川乱歩やべぇ…)