私、男性恐怖症です | ナノ

初めて見た


時は過ぎ安室さんのドッキリ☆自宅訪問から1週間。
あれから私はいつも通り安室さんを避けながらポアロでバイトをしている。

今午後15時過ぎ。
喫茶にはお客様もいなく皆さん買出しに行かれ私一人で留守番をしている。

まぁここに務めるのも長いことあって全ての注文対応にできるようになっている。
だから私一人でも大丈夫と任せ皆それぞれ買い出し行ったんだろうなぁ、と考えにふけているとカランと空いた扉。

慌てて意識を接客モードに切り替える。


「いっらしゃいませー!」

入ってきたのはなんと見目麗しい美人さんだった。
ボンキュッボンのスタイル綺麗な金髪碧眼、そして凄い美人さん。

女優かなにかかな?と思われても可笑しくない風貌をしている。


「Hi」

(え、英語!?)

「の、のーすぴーきんぐいんぐりっしゅ…」

(あれこれで合ってたっけ!?)

おどおどしながら美人さんを見てるとクスリと笑われた。

「ごめんなさい、私日本語喋れるのよ」

「あ、そうだったんですね…!私英語は成績凄く悪くて…」

と言いカウンター席に座る美人さん。


「ご注文は何にされますか?」

「この数量限定の紅茶というのは余っているのかしら」

「あ、まだありますよー!直ぐに入れますね」

「Thank you」

数量限定とは書かれているがあれは私専用の紅茶なのだ。
私が入れた紅茶を飲んだマスターがこれは美味しいメニュー決定!と言われた時はびっくりした。

それからあれよあれよと話が進んでいき私の紅茶は数量限定の紅茶ととしてメニュー化決定した。

ただのティーパックで私が普通に入れた紅茶何だけどなぁ…と思いながらティーパックを用意しお湯を入れる。

数量限定の理由は私じゃないとあの味は出ないからだそうだ。
そろそろ頃合かな…と思いティーパックをカップから出す。

うん、いい色合いだと1人納得して美人さんに紅茶を出す。

「お待たせ致しました、こちらが紅茶になります。ミルク砂糖はそこにあるのを自由にお使い下さい」

「私は紅茶には何もいれない派だからいいわ。ありがとね」

「わかりました!」

因みに私は紅茶も砂糖ミルクを入れなきゃ飲めないお子様舌だ。

「あら、この紅茶…」

「な、何か不備がありましたでしょうかお客様」

「いえ、とっても美味しいからどこの銘柄か聞きたいわ」

「あははー…私が入れたただの紅茶なので銘柄とかは特にありません」

(お、怒られると思った…)

心臓がドッキドキのバックンバックンだった。

(美人さんは目の保養だけど怒ると怖いからね…)


「ほんとうに美味しいわね、この紅茶」

私がいれた紅茶を嬉しそうに飲む美人さんを見て私も心無しかテンションが上がる。

「お客様に気に入ってもらえたなら光栄です」

「そのお客様っていうの堅苦しいからやめにしない?私のことはシャロンでいいわよ」

「あ、じゃあ私も斎藤乃亜と言いますのでシャロンさんのお好きなように…!」

「では、乃亜と呼ばせて貰ってもいいかしら?」

「はい、是非!私はシャロンさんと呼んでもよろしいでしょうか?」

「いいわよ。よかったら連絡先交換しない?」

と、スマホを取り出すシャロンさん。

「是非!交換しましょう。スマホ取ってきますね」

と言葉を紡いだ瞬間カランと空いた扉。
そこには安室さんが驚いた顔で立っていた。

「あら、バーボン。お邪魔してるわよ」

「ベルモット!何故おまえがここにいる!?彼女に変なことしていないだろうな!?」


(バーボンにベルモット?親しい仲なのかな。というかなんでお酒のニックネーム?)

「とりあえず出ていけベルモット」

(安室さんがあんなに怒ってるの初めて見たかも…)

顔には如何にも怒ってますという顔してるしそれに対しシャロンさんは何食わず顔でいる。


「彼女と連絡先を交換したら帰るわ」

「えっ、あっ、そうですね…スマホ取ってきます」




*



「何を企んでいるんだベルモット」

「何カリカリしてるのバーボン?怒る男は嫌われるわよ」

「…っ。貴方に言われなくてもわかってます。彼女と連絡先を交換する意味は?」

「別にこっちに引き込むつもりは一切ないわ。彼女は完全にただの一般人だからね」

「ならさっさとこの店から立ち去れ。そしてもう二度とくるな」

「それはあなたが決めることじゃなくてよ?」

*



「シャロンさーん!スマホ持ってきました!」

ドタバタと走りながら私はシャロンさんの元に行く。
シャロンさんと安室さんはなにか喋っていたみたいだが私には関係の無いことだし何より安室さんがシャロンさんを警戒してるのに驚いている。

「LINEでもいいかしら?」

「はい!是非!」

そしてLINEをお互いに交換する。

「それじゃあ、私の用事は済んだのでもうお暇するわ」

「シャロンさん!また来てくださいね」

「…ええ、その男がいない日にでもね。また紅茶をいれてくれるとありがたいわ」

「そんなのお安い御用ですよ!ではまた!!」

「see you again」

と言いシャロンさんは去っていった。
安室さんはずっとシャロンさんが出ていった先を睨んでいた。