こんな展開誰が望んだ
車でドナドナされること数分。
私には何時間にも感じたが車が止まり安室さんが告げた。
「着きましたよ、ここが僕の家です」
「(こ、高級マンションやないか…!!!)」
思わず安室さんが家と指した場所を見てあんぐりとしていると安室さんに手を引かれ降ろされた。
「(え、手を…?)……ちょ、っ、ま、まままあ、あむ、安室さん手…!」
「今日はデート言ったでしょう?これぐらい普通ですよ」
(安室さんは女慣れしてるかもしれないけど私は男慣れしてないんですよ…!というか寧ろ苦手なんです!!)
「では、行きましょうか。食材はもう買ってありますので」
「え、あ、あ……、お金…!」
「お金のことないいですよ。僕の都合で付き合ってもらってる上に僕の試作品ですしね」
「えっ、あ、い、や…だ、けどポアロの試作品です、し…」
「いいったらいいんです。ほら、行きますよ」
と、ナチュラルに手を引かれエレベータの中へ。
(ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙エンダァアアアイヤァアアア二人っきりー!!!!)
チン、と音が鳴りエレベータが止まった。
相も変わらず手は握られたままで安室さんの部屋に案内される。
ガチャ、と扉が開き、
「どうぞ、乃亜さん」
「えっ、あ……、いや、しっれぃ…しまぁすぅ…」
(男の部屋なんて入るの初めてだ…安室さんの部屋凄いすっきりしてて無駄なものが何も無い)
安室さんの部屋は本当にシンプルで必要最低限のものしか置いていない。
男性の部屋ってこんなのなのかな…?と考えを巡らせていると掛けられた声。
「あ、乃亜さんはそこのソファーに座っておいてください。今からケーキ作りますね」
「えっ、いや私だけ寛いでるのは申し訳ないので私もて、つだいますよ…!」
「じゃあお言葉に甘えてこのフルーツ切ってもらえませんか?」
「はい、わかりました」
安室さんが立っているキッチンに向かい私もフルーツを切るのを手伝う。
あれ、これって今思えばもっと密着してるんじゃ…?大人しくソファーに座っておけばよかったんじゃ…?しかも安室さん隣にいる。
(ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙エンダァアアアイヤァアアア距離が近い!!!隣にいる!!)
そう考えた途端ボッと顔が真っ赤になる。
考えるな考えるな…と念を込めてケーキのフルーツを切ってると手が滑ったのか包丁で指を切ってしまった。
「いった…」
「乃亜さんどうかされました…って指から血が手が出てるじゃないですか!」
といいパクリ、と指を口に含められる。
「〜〜〜ッ!?!」
声にならない悲鳴をあげる私に構わず安室さんは執着に私の傷口を舐める。
下が這う度にゾクゾクとしてしまう。
そして離される指。
指からはツーっとヨダレが安室さんに口を引いていく。
「これで止血は大丈夫ですかね…とりあえず救急箱持ってきますね」
安室さんが別の部屋に入りに行った途端ペタン、と座り込んでしまった私。
(こ、腰が抜けた…)