「ん…」

意識が浮上したら見知らぬ真っ白な部屋で尚且つコナンくん、沖矢さん、安室さんがいた。

「ん…、んん……?」

寝ぼけ眼でもう一度3人を見遣る。

「…………」


ええええええ!?!という大きな叫び声が響いたのは数秒後だった。






















*






「あの、私なんでここに居るんでしょ…?」

状況がさっぱりなのだ、わけがわからない。
翻訳さんプリーズ。


「実は僕も目が覚めたらここにいて…」

「私もです」

「僕も…」

あ、皆さん同じ状況なのですね。
…って嫌々感心してる場合じゃないよね!?


「4人揃って誘拐…?え、私ならまだしもそこの御三方は…」


誘拐することはあってもされることはないだろうっていう言葉をぐっと飲み込み疑問をぶつける。

「名前お姉さん、僕の道具も1式取られててさ…しかもあそこの扉は開かないし」

と、コナンくんは部屋の中にあるポツンとした白い扉を眺める。

「あの、沖矢さんや安室さんも試したんですか?扉開けるの」

「はい、ですが扉が開かないので蹴っても殴っても開きませんでした」

ベビーフェイスゴリ…じゃなく安室さんが言うのなら相当頑丈な扉なのだろう。
全くそう見えない扉なのが怖いところだ。


「それでこれが部屋に置いてあったんですけど…」

沖矢さんが1枚の紙切れを私に渡す。

そこには簡潔に【女から男3人とハグしないと出れない】。

ハグぐらいなら…と思い3人を見遣るがコナンくんは可愛いしいつもハグしてるから問題ない。
問題なのは安室さんと沖矢さんだ。

イケメンであるイケメンである。
大事なので2度言った。

イケメン耐性がない私にとったら地獄みたいなものだ。
まずイケメンに関わるといいことがない。
それにイケメン絡みで絡まれること多々。

よって私はイケメンは苦手というか…ぶっちゃけると無理なのだ。

(それなのにハグ…)

思わず頭を抱えてしまった。

(いやでも私ここから出るためなのよ…!少しぐらい我慢…そう我慢!…………無理!)

あー、うー、と悩んでると何を勘違いしたのか沖矢さんと安室さんが口論を始めた。

「貴方とハグするのが嫌らしいですよ、沖矢昴さん?」

「いや、彼女が頭を悩ませてるのは君のことじゃないかな?安室透くん?」


(あっれー…可笑しいなあそこだけ気温が違うよ何か氷点下…こっちまで寒気してきた……)

「コ、コナンくーん…」

思わず傍に居る(逃げてきたと言っても過言ではない)コナンくんに助けを求めるも苦笑で返された。


「えええー…どうしよ…女は度胸と言うしこうなったら私からハグしたらいいの…?やだよー…」

半べそをかいてる私にコナンくんは私に助言をくれた。

「なら顔を見ないように目を瞑ってハグすればいいんじゃないの?」

「ナイスアイデアだよコナンくん!」

(そうだ、顔さえ見なきゃ問題ない!)

「で、でもさ…コナンくんどっちからハグすればいいと思う…?」

「え"っ…それは……」

流石のコナンくんも口篭もってしまう。

(なんて言うかどちらからしても文句言われそうだし…うわーんやだよ)

「な、ならじゃんけんしてもらったら…?」

「あの2人が素直に応じるかな…?」

「大丈夫名前お姉さんの言うことなら!」

「え、えー…その自信どこからなの……」

ええい、女は砕けてなんぼ玉砕してなんぼ!と思い口論をしてる安室さんと赤井さんに話しかける。


「あ、あの…私からハグしなきゃいけないんですよね…?あの、その、」

ついモジモジしてしまう乙女か私は。
いや、乙女だった、いや、思いたい。

「…ハ、グ……させ、て…、ください!」

と言いながら私は目を瞑りながら走り最早猪並に突進していき2人に抱きついた。


「!?」

「…っ!?」

(よ、よしハグというか体の感触はあった…!これで後はコナンくんだけ…!)

くるっと2人を見ないように向き返りコナンくんに近づきぎゅっ、とハグをする。

どこからかカチャッっていう音が聞こえたので多分扉が開いたんだろう。


(あ、あー…やっと出られる…)

私は開いた扉に向かい一目散に走っていった。
だからその後の3人の会話なんて知るよしもなかったのだ。








「名前さんにハグされた…身長的に胸が……」

「……柔らかったね…」

「彼女は着痩せするタイプなのかもしれませんね…」