「ポインセチアは恥ずかしがり屋だと思うの」


クリスマスの一週間前に当たる今日。
女主名前とラビは食堂の飾り付けの任務を与えられていた。
両手に飾る真っ赤なバラを持ったいたラビが女主名前の発言に「へ?」っとマヌケな声を出していた。
そんなラビに女主名前はもちろん「マヌケな声出さないの」と言われただけでなく「マヌケ度が増すわよ」と付けられた。


「ま、マヌケって……。
女主名前が急にロマンチックなこと言うからさ!」

「ちょっと、バラ落ちるわよ!
それにその発言失礼よ」


ラビはバラを落とさないことで頭がいっぱいで女主名前が睨んでいたのに気づかなかった。
自分が睨んでいることに気付いていないとわかった女主名前は小さくため息をつき花瓶を指でなぞる。


「早くバラ取れよー」

「はいはい…」


そうして決められた場所にバラを飾り終えた二人は休憩と思い食堂の隅でお茶にしようとしたが周りが慌ただしいので女主名前の部屋でお茶することにした。


「ラビ、あんたの部屋汚すぎ。」

「あははー、仕方ねーんさ」

「新聞紙だけじゃん、読み終わったらまとめなよ」


「気が向いたらやるさー」っとラビが適当に返事をした後は女主名前の部屋への廊下を無言で歩いた。


「なぁ……」


ラビが急にその場に止まったことに3歩程歩いてから気付いた女主名前は「何?」っと足を止め振り返った。


「なんで恥ずかしがり屋なんさ?」

「は?」

「だーかーらー、なんでポインセチアは恥ずかしがり屋なんさ?」

「あ、その話か……。
つか興味あったんだね」

「あんな表現使われちゃなんか気になるっしょ」

「頑張って想像力膨らませて」

「無理」


きっぱりと言い切ったラビに「もぅー」っと楽しそうにした女主名前。
廊下には二人の姿しかない。


「だって赤じゃない」

「それだけさ!?」

「うん、それだけー」

「うげー聞いて損した」

「ひどいな!
私は真剣なんだよ」

「ポインセチアは日に当てる時間を減らして葉を赤くするんさ。
だから恥ずかしがり屋って考えは変さよ」

「うー……」


唸る女主名前にラビが1歩、2歩と近く。


「じゃぁポインセチアに何をあげれば良いのよ」

「は?」

「ポインセチアが恥ずかしがり屋だから隠れやすい場所に移してあげようとしてたのに……」

「それあげる違いじゃねぇ?」

「一緒よ一緒!」


ムキになる女主名前の目の前に立ちゆっくり耳元で囁いた後にっこり笑って手をとった。



*ポインセチアに真紅のキスを*

((最愛の君には愛情のキスを))







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