「クリスマスケーキどーするー?」

「お前、遅くないか?」

「え?」


机に数枚のチラシを並べ砂糖とミルクがたっぷり入ったコーヒーをスプーンで混ぜていた女主名前は首を傾げた。


「ケーキのことだ」

「遅くないよー、リオン」


「相変わらず脳天気だな」っと呟いた後一枚のチラシを持ち左下に書かれた文字を指さした。


「12月14日までにご予約下さいって書いてるだろ」

「ええー!?
きょっ今日は…」

「12月20日だ」


リオンの言葉に女主名前は勢い良く立ち上がった。


「どこに行くんだ…?」

「ケーキ屋さん!
もしかしたらまだ予約できるかもだし!」

「無駄だと思うが……」


リオンを引っ張りながら女主名前が勢いよく家を出た。
チラシがあった店を次々と回るがどの店も予約はダメだった。


「あー……」

「だから言っただろう」

「……ケーキのご予約はお早めに、か…」

「お前みたいなとろくさい人間には無理なことだな」


楽しそうに言ったリオンにいつもなら女主名前が突っ掛かるのが今回はそれがなかった。
よっぽどケーキを予約出来なかったことがショックなのだろう。


「…………」

「…………」


二人は公園のベンチに腰掛けぼーっとしていた。


「……そんなにショックなのか?」

「リオンだってショックな癖に……」

「う……」


「私以上に甘いもの好きでしょ…」っと呟いた。


「うるさい」

「べーっだ。
………そうだ!」


バッとベンチから立ち上がり女主名前はリオンの袖を引っ張った。


「な、なんだ!」

「プリンだよ、プリン!」

「は…?
プリンがどうした…?」

「リオン好きでしょ!」


「き、嫌いではない…」っとリオンが顔を背ける。
照れ隠しだと誰もがわかる。


「予約しに行こう!」

「よ、やく……?」


「プリンに予約なんているのか?」と眉間にシワを寄せるリオンにニコニコと効果音がピッタリな笑顔で女主名前はいった。


「バケツプリンはクリスマス関係ないから予約いっぱいじゃないよきっと」


「バケツプリン嫌?」と首を傾げる女主名前にリオンはもちろん「ケーキよりバケツプリンが良い」なんて素直にいえなくて、「仕方ないから良いだろう」とベンチから立ち上がった。



*クリスマスケーキのご予約はお早めに*


(もちろんデートのご予約もお早めにね!)
(誰がお前と行くか)





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