「やあ諸君、クリスマスの予定は?」


苗字の絡み、すげーウザい。ちゃっちゃと用件を言えば良いのに。肩に腕回すな、気持ち悪い。


「野球」
「野球だな」
「野球、だよ」
「彼女とデート」
「リア充死ね」


あーあ、やっぱりそうだったか。浜田はちょっと傷ついたらしく、いきなり何だよ!と言い返した。
苗字は彼女いない歴=年齢だと自分で言っていた。今年のクリスマスも独りさ!なんてヤケになって叫んでいたのは記憶に新しい。だから彼女持ちが相当憎いらしい。いや落ち着けって。



「なあ、部活終わったら遊ばねえ?」
「おー良いねえ」
「ガスト行って、ゲーセン行って、カラオケ行って」
「お、おお!」


クリスマスまでに彼女を作るという選択肢は苗字の中に無いのだろう。俺たちと遊ぶことしか考えていない。もちろん浜田をのけ者にして。
あーあー、俺馬鹿みてえ。(こんなヤツのことが、変に気になってるんだよ)


「泉は?何かしたいことある?」
「え?あ…いや、特に」
「なんだよー、案くれって」
「さっきので十分だろ。いつまで遊ぶ気だ」
「終電!」


わいわい、苗字と田島と三橋は楽しそうに予定を話している。本来なら俺も入るべきなんだろうけど、ちょっと入る気になれない。のけ者にされている浜田とか見てる方が楽しい。あ、またリア充死ねって言った。




「三橋くん、ちょっと良いー?」


そう言って俺たちに話しかけてきたのは篠岡だ。篠岡が9組に来るときはたいてい部活のことしか無い。今回は三橋に用事があったらしく、俺たちから1歩離れたところで話している。そっちを見ていた俺はふと、苗字の方を見た。

「おま…表情険しい」
「リア充爆発しろ…」
「あれは違うから!部活の連絡だから!」
「あんな可愛いマネジがいるということだけで羨ましい!」


ああもう何だコイツ!どんだけ女に飢えてるんだ!(こんなヤツが気になってる俺も何なんだ)
話が終わったらしく、三橋が戻ってきた。篠岡はそのまま帰るのかと思ったら、三橋と一緒にこっちに来た。そして少し顔を赤らめて。



「あの、苗字くん」
「はい?」
「…クリスマスの予定、ありますか?」


苗字は目を見開いて驚いて俺を見た。俺を見るな。俺だってびっくりだ。まさか篠岡がそんな。田島と三橋も驚いている。浜田だけニヤニヤ気持ち悪いけど。


「え、っと」
「良かったじゃん。予定無いって言ってたし」
「……泉」



篠岡の目が期待したものに変わる。ほら、オッケーしちゃえよ。彼女欲しいんだろ。早く、早く!俺が惨めになる!







カップルなにそれ、美味しいの?
美味しいに決まってんじゃん!





次は俺が言ってやる。
リア充死ね!




2009.12.24

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -