02/15 ( 20:32 )
見守る者たちの憂鬱(free)

逢葵ちゃんの夢主さん、五月ちゃんとひなたちゃんをお借りしました。
五月ちゃんを完全に弄る形になりました申し訳ない(平謝り)


滴には、悩みがあった。
一番はやはり、凛のことであるが、これはもう何年も前からの悩み事であり、解決は諦めつつある。
今更、彼と仲直りできるなんてさすがに思ってはいない。
それよりもうひとつ、最近生まれた悩みがある。
それは……。

「べ、別に! あんたなんかのために買ってきたわけじゃないから! 滴がみんなの差し入れ買いに行くって言うから、その、ちょっと手伝ってあげただけで……!」
「は、はぁ……」

高校で出逢った友達、五月のことである。
彼女は少し――否、かなりあまのじゃくなところがあり、彼女の口から出てくる言葉も少々棘があったりする。
要するに照れ屋なのだが、なかなかに度が過ぎている気がしなくもない。
滴も初めは彼女の態度に戸惑いを感じたが、彼女という人間を知るうちに理解し、今は保護者のような立場で彼女を見守りつつ接している。
そんな彼女には、想い人がいる。
現在、一方的に、そしてやや乱雑に差し入れのジュースを渡され、困惑している彼である。

「またやってる」
「五月ちゃんも、もう少しだけでも素直になれたらいいんですけどね」

一緒に差し入れを買ってくれた、一つ上の先輩、ひなたも五月のことを案じてか、すっかり苦笑いを浮かべている。
ひなたは滴にとっても、五月にとってもよきお姉さんなのである。

「うーん、なかなか難しいと思うなぁ」
「五月が素直になるなんて、天地がひっくり返ってもない気がする」
「確かに」

江も、渚も、すっかり諦め気味。

「せめて、怜ちゃんが気付いてくれたらなぁ……」
「それも無理じゃない?」
「うん、無理ね」
「わたしも、そんな気がします」

一同、再び期待する間もなく望みを断たれる。
どうやら、この悩みもしばらくは続きそうであると、途方に暮れそうな滴は大きく溜息を溢した。



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