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欲の籠る温室

薔薇娼館に掻き立てられて、土方さんと優衣(17)でアダルティーな小話。
温室という言葉はまさに、この曲の影響です。



深く、熱く、唇を吸い尽くされて。
成す術なく翻弄されるがままに、身体に点る熱に意識が浮かされる。
力なく、宙を浮遊しているような感覚に陥り、無性に怖くなって必死に土方の首に腕をしがみつかせる。
すると背中を彼の逞しい腕に支えられ、ちょっぴり安心した。
しかし、息もできずに溺れているうちに、苦しくなってきて、思わず指先に入らない力を入れようとする。
察したのか、彼の唇がいやらしく音を立てると共に離れ、反動的に口を開けて大きく酸素を求めた。
同時に、無力な身体は彼の胸の中に傾れ込んだ。
浅く乱れた吐息は、熱っぽく。

「ひじ、かた……さっ……」
「ふたりきりの時は名前で呼べっつったろうが」
「んっ」

耳元で囁かれ、擽ったくて肩が跳ねた。

「とう、しろ……さん……」

緊張感と少しの羞恥心の中、彼の望む通りに呼ぶと、優しい手つきで頭を、髪を撫でられた。
胸が小さくときめいて、満たされた。

「優衣」

呼ばれた名前に深い愛を感じて、また浴びせられる濃厚な口づけに彼の欲情を感じて。
羞恥心の隣に、女としての歓びが生まれてくる。
彼の名を呼びたくて、少しして彼の唇が離れた瞬間に、小さく口を開いた。
が、出そうとした声は彼の咥内に籠り、ぬるりと苦味のある舌がこちらの咥内に侵入してきた。
初めての感覚にびっくりして、慌てて彼の胸板を押し返すが、思うように力が入らずびくともしない。
ただ、舌が密に絡められて、ぞわりと脳髄が痺れる感覚に身体が震える。
色めいた吐息と、漏れる声が重なる。
撫でられる頬は火照り、身体の奥底から這い上がる妙な感覚に、脚を擦り合わせて。
瞬間、畳の上に押し倒された。
驚いて目を見開くと、舌を強く吸われて、強い刺激に強く目を瞑る。
その隙に指と指が絡め合って、脚と脚の間に彼の長い脚が割り込んで、重ねられる身体。

「優衣……悪ィ。もう、限界だ」

苦しげに漏れた言葉に、これまでの時の重みを感じて。
嗚呼、この人はずっと想っていてくれていたのだと、実に感じて。
きゅっ、と握られた手に力を込めると、彼はようやく理性から解き放たれたように、獣となって貪りついてきた。


ここはふたりの愛を育むための、欲にまみれた、ふたりだけの温室。



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