12/25 ( 21:20 )
寒い日には

ちひろさん宅テニス夢主さん、会長さんと優衣の、とある冬の日の小話。
ほっこりと温まる感じに書きたかったのですが、逸れましたね。



冬の冷たい空気に体を蝕まれ、寒さに震える。
マフラーや手袋で防寒していても、スカートから伸びる脚に直接、冷たい空気が触れて、堪ったものではない。

「ううっ、今日も寒いね」
「ほんとですねぇ」
「って言いながら、会長さんはあんまり寒そうに見えないんだけど」
「あれ、そんなことないですよ?」

あっけらかんと否定する彼女は、体を震わせることなく平然としている。
先程から身を縮めて凍えている優衣とは大違いだ。
あまりの寒さに自分の腕を擦っていると、彼女がこちらに寄ってきた。

「くっついたら温まりますよ」
「なるほど。えいっ」

彼女の理屈に納得して、こちらからも体を寄せて密着させる。
まるで押しくらまんじゅうでもしているみたいで、何だか楽しくなってきた。
少し勢いをつけてくっつき合い、体を弾ませる。

「えいっ、えいっ!」
「あははっ、ほんとにちょっと温かくなってきた!」

そうしてじゃれ合いに夢中になっていると、待ち人がようやく部室から出てきた。

「何や自分ら、楽しそうにやっとるな」
「だってじっとしてたら寒いんだもん」
「ひょっとして先輩、羨ましいんですか?」

にやり、と挑発的に笑ってみせる彼女に、忍足は眉をぴくりと動かした。
そして、ちらっとこちらを見ながら。

「そらそうやろ」
「なっ!?」

真顔であっさり認めてしまった彼に、思わずたじろいでしまった。
できれば否定しておいてほしかった。
すると更に、隣にいる彼女は笑みを深めて、こちらの顔を覗き込む。

「先輩、照れてますね?」
「照れてない!」
「顔赤いですよ?」
「そ、そんなことより早く帰ろうよ!」

散々にからかわれ、みるみるうちに顔が熱くなってきて。
もう逃げ出したくて、早足で歩き出した。
顔を背けても、会長のにやにやと笑う顔は容易に想像できてしまう。

「もう、先輩をからかうなんて酷い」

恥ずかしさを吐き出すように、小さくぼやいた。
この時には寒さなんてもう、すっかり忘れてしまっていた。

明日から、楽しい冬休みが始まる。



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